2016.01.31 | ニュース

腟周辺のかゆみを起こす「腟カンジダ症」の薬で流産が増える?

デンマークのデータから

from JAMA

腟周辺のかゆみを起こす「腟カンジダ症」の薬で流産が増える?の写真

カビの仲間が感染して起こる腟カンジダ症はかゆみやおりものの異常を起こします。治療によく使われるフルコナゾールの飲み薬は、妊娠中は使用禁止とされていますが、デンマークの統計では実際に使われ、流産と関係する恐れがあることが報告されました。

◆フルコナゾールを飲むと流産は増えるのか?

研究班は、フルコナゾールの飲み薬が妊娠中の女性に対して「限定された安全性情報に反してしばしば使われる」ことを背景に挙げています。

この研究は、デンマーク全国の診療データから、妊娠中にフルコナゾールの飲み薬を使った人を選び、同じ種類の薬でも外用剤を使った人と比較することで、流産の頻度に違いがあるかを調べました。

 

◆外用剤よりも自然流産が多い

次の結果が得られました。

局所アゾール曝露を対照とすると、フルコナゾールに曝露した女性は2,823人中130人、局所アゾールに曝露した女性は2,823人中118人が自然流産を経験した(ハザード比1.62、95%信頼区間1.26-2.07)[...]。

妊娠中にフルコナゾールの飲み薬を使った女性では、外用剤を使った人に比べて、自然流産が多くなっていました

 

妊娠中に使う薬を選ぶには特に注意が必要とされ、妊娠中は使用禁止とされる薬も数多くあります。フルコナゾールの飲み薬でも、添付文書に妊娠中は使ってはいけないことが明記されていますが、その指示に反してここで指摘されたような実態もあるようです。さらに詳しい調査と対策が望まれます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Association Between Use of Oral Fluconazole During Pregnancy and Risk of Spontaneous Abortion and Stillbirth.

JAMA. 2016 Jan 5.

 

[PMID: 26746458]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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