顔の皮膚にステロイドの誤用があった200人
インドの研究班が、顔に皮膚病があり、かつ顔にステロイド外用薬の誤用を30日以上続けていた患者200人の例を調査し、皮膚科専門誌『Journal of Dermatological Case Reports』に報告しました。
インドのジャンムーにあるジャンムー政府医科大学の外来を受診した患者の情報が記録されました。アトピー性皮膚炎などの妥当と思われる診断が先についていた場合を除き、誤用と思われた人が対象となりました。
にきび、色素沈着、多毛など
対象者のうち166人が女性、34人が男性でした。31歳から40歳の人が多数でした。ステロイドを使用していた目的に以下のものがありました。
- 全体的な/美容上の目的
- にきび
- 色素沈着
- 白癬(水虫)
- 診断がついていない皮膚病
以下の人からステロイド薬を使うようにアドバイスされていた例がありました。
- 薬剤師(34.5%)
- 友人・親族(30.5%)
- 化粧品使用の専門家(11.0%)
- 皮膚科以外の医師(15.0%)
- 皮膚科医(9%)
誤用の結果、以下の出来事が起こった例がありました。
- にきびのような病変
- 血管拡張
- 色素沈着異常
- 多毛
- 口囲皮膚炎
- 異型白癬
研究班は結論として「この研究の結果により、皮膚の異常を診断し治療するために皮膚科専門家の欠かせない役割が強調される」と述べています。
副作用を知って正しい使用を
ステロイド外用薬の誤用についての報告を紹介しました。インドの状況が日本に当てはまるかどうかといった点の吟味は必要ですが、誤用の結果としては、一般的にステロイド外用薬の副作用として知られているものなどが挙げられています。
日本では薬局・ドラッグストアなどで処方箋なしで買える市販薬にもステロイド成分を含むものがあります。ステロイド外用薬は炎症を抑えるなどの高い効果があり、皮膚科の診療にも欠かせない薬です。しかし、どんな薬にも副作用はあります。間違った使い方によって効果が得られず副作用が目立ってしまうような状況も考えられます。
市販薬でも薬剤師などの説明をよく聞いたうえで使うことや、市販薬で解決しないと思ったときには早めに医師に相談すること、さらに薬剤を使ったあとで新しい症状や症状の悪化を感じたときはすぐに医師や薬剤師に伝えることなど、使い方にも気を付けて、薬をうまく利用してください。
執筆者
Misuse of topical corticosteroids on facial skin. A study of 200 patients.
J Dermatol Case Rep. 2017 Mar 31.
[PMID: 28539982]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。