2017.03.05 | ニュース

脳損傷に音楽療法の効果はあるか?

文献の調査から

from The Cochrane database of systematic reviews

脳損傷に音楽療法の効果はあるか?の写真

怪我や脳卒中で脳が傷付いたとき、日常生活を取り戻すためにリハビリテーションが重要です。リハビリでは音楽を取り込んだ方法も使われます。音楽を使う方法の効果として研究から報告されている結果の調査が行われました。

音楽を治療に取り込む試みはさまざまな分野でなされています。手術後の痛みや不安が音楽によって和らぐなどの効果も知られています。

外傷や脳卒中など、産まれたあとの原因による(先天性生まれつき、または生まれた時から起きていること。「後天性(後天的)」の対義語の原因を除く)脳損傷を後天性生まれてから起こること。「先天性(先天的)」の対義語脳損傷と呼びます。アルツハイマー病などは除きます。

後天性脳損傷のリハビリに音楽を使う効果について、研究の状況を調べた結果を紹介します。

研究班は、過去に報告された研究論文などのデータベースを検索し、音楽による効果として以前に行われた研究の結果を調べてまとめました。

 

採用基準を満たす29件の研究が見つかりました。結果をまとめると、音楽により以下の効果があると見られました。

  • 歩行速度が速くなる
  • 障害がある側の歩幅が長くなる
  • 一定時間の歩数が増える
  • 腕を動かす動作の始まりが速くなる
  • 失語脳卒中などの影響で、言葉が適切に話せなくなったり、理解できなくなったりすること。発音がうまくできない「構音障害」とは区別されるの回復度が向上する
  • 自己申告による生活の質(QOLquality of life の略であり、生活の質と訳される。命があることだけでなく、その質や中身を重要視した言葉)が改善する

有益な結果が示されていた一方、それぞれの研究の方法を吟味すると結果に偏りが出ている可能性もあると考えられたため、研究班は結論として「これらの結果は支持的だが、臨床の実践について推奨がなされるよりも前に、すべての評価項目についてより質の高いランダム化対照試験が必要である」としています。

 

音楽によるさまざまな効果が研究から示されていることを紹介しました。

これらの効果は、音楽を取り込みつつ適切なリハビリを行うことが前提です。音楽だけで劇的な改善は期待しにくいでしょう。とはいえ、音楽が通常のリハビリの妨げにならない限り、関心のある人が音楽を使ってみるのは良い考えと言えるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Music interventions for acquired brain injury.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Jan 20.

[PMID: 28103638]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]