正しい姿勢なんてムリ!手首式血圧計で測ってみたら…
手首で測るタイプの血圧計を使ったことがありますか?小さくて持ち運びに便利な反面、使い方を間違うとうまく測れません。実際に指導を受けた人が計測した結果、誤差が大きく出た人が多かったという研究結果が報告されました。
手首で測る血圧計の誤差を調べる研究
イタリアの研究班が高血圧専門誌『Hypertension』に報告した研究を紹介します。
この研究では、手首で測る血圧計の誤差を調べています。
一般人口から721人の参加者が集められました。参加者は血圧計の使い方の指導を受けました。
手首で測る血圧計の使い方とは?
手首で測る血圧計は、腕時計のような形をしています。測定のときは血圧計を手首に巻き、肘を軽く曲げ、手首を心臓の高さに上げて測ります。手首の位置が低いと測定値が高く、手首の位置が高いと測定値が低く出てしまいます。
腕で測る普通の血圧計でも、二の腕に巻くマンシェット(帯状の部品)は心臓の高さにする必要がありますが、二の腕の位置は手首ほど上下に動きません。
正しく測られていれば、手首のほうが二の腕よりも心臓から遠いので、手首のほうが血圧は低めになります。
自己測定と診察室で血圧は違うか?
研究の参加者は家庭で血圧を自己測定しました。自己測定には手首で測る血圧計と、腕で測る血圧計の両方が使われました。自己測定とは別に、診察室で医師などによる
家庭で測ったときと、診察室で測ったときの違いが計算されました。
手首で図ると血圧が高く出る人が多かった
次の結果が得られました。
診察室では、
収縮期血圧 は腕で測るよりも手首で測ったときに2.5%低かった(P=0.002)。対して、家庭では腕で測るよりも手首で測ったときのほうが収縮期血圧が5.6%、拡張期血圧 が5.4%高かった(ともにP<0.0001)。621人の対象者で±5mmHg以上の家庭計測誤差があり、±10mmHg以上の家庭計測誤差があった対象者(測定がうまくない人)は455人だった。
診察室では、腕で測るよりも手首で測ると血圧の計測値は低く出ました。ところが家庭では手首で測ったほうが平均して血圧の計測値は高く出ていました。誤差が10mmHg以上あった人は721人中455人でした。
この結果から、研究班は「したがって、手首の計測装置を家庭での自己測定に使うことは、頻繁に誤って血圧上昇を検出することにつながる。それはおそらく指導をうまく覚えられず解釈できないため、手首の位置が間違っているのが原因である」と結論しています。
うまく使えないときはほかの器具も
手首で血圧を測るときの注意を守るのはなかなか難しいようです。自分で使う器具の説明をよく読んで理解するのはもちろんですが、説明どおりにしにくいこともあります。使いやすい器具を選ぶこともできるので、自分にどちらが合っているかはよく考えて使うのがいいでしょう。
執筆者
Poor Reliability of Wrist Blood Pressure Self-Measurement at Home: A Population-Based Study.
Hypertension. 2016 Oct.
[PMID: 27550911]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。