2016.08.09 | ニュース

糖尿病の薬、副作用の低血糖が多いのはどれ?

イングランド12万人のデータから

from BMJ (Clinical research ed.)

糖尿病の薬、副作用の低血糖が多いのはどれ?の写真

糖尿病の飲み薬の副作用の中でも、血糖値が下がりすぎる低血糖は特に起こりやすく、緊急で対処しなければ命に関わります。実際の統計から、薬の種類ごとに低血糖の頻度は違い、腎臓の状態が悪い人では特に危険性が高かったことが報告されました。

 

◆メトホルミンとSU剤を比較

ここで紹介する研究は、イングランドの統計を解析することにより、糖尿病治療薬を飲んだときの低血糖の頻度を調べています。

インスリン注射以外の糖尿病治療薬を使い始めた人120,803人の経過のデータが解析の対象になりました。

糖尿病治療薬の中でも、第一選択とされるメトホルミンを飲んだ人と、違う種類のSU剤(スルホニルウレア)を飲んだ人が比較されました。

 

◆SU剤は低血糖が多く、特にグリベンクラミドが多い

次の結果が得られました。

スルホニルウレア単剤を使用中の人で、低血糖のリスクはメトホルミン単剤を使用中の人に比べて有意に増加した(調整ハザード比2.50、95%信頼区間2.23-2.82)。スルホニルウレア単剤使用中の人で高かったリスクは、eGFRが30ml/min/1.73m2未満の人ではさらに増加した(4.96、3.76-6.55)。低血糖のリスクは[...]グリベンクラミド使用中の人で有意に高かった(7.48、4.89-11.44)。

メトホルミンだけを飲んでいた人よりも、SU剤だけを飲んだ人のほうが高い頻度で低血糖を起こしていました。特に腎機能が中等度から高度に低下している人(eGFR<30ml/min/1.73m2)で低血糖が多く、SU剤の中でもグリベンクラミド(商品名:オイグルコン、ダオニールなど)を飲んだ人で低血糖が多く発生していました。

研究班は「腎機能が30ml/min/1.73m2未満の患者では、スルホニルウレア治療は注意深く検討されるべきである」と結論しています。
 

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Risk of hypoglycaemia in users of sulphonylureas compared with metformin in relation to renal function and sulphonylurea metabolite group: population based cohort study.

BMJ. 2016 Jul 13.

[PMID: 27413017]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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