2016.11.16 | ニュース

糖尿病を薬で予防?インスリンを分泌させる薬に効果はあるのか

文献の調査から
from The Cochrane database of systematic reviews
糖尿病を薬で予防?インスリンを分泌させる薬に効果はあるのかの写真
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糖尿病予防には食事と運動が大切です。一方、糖尿病の薬で血糖値を下げることができます。糖尿病と診断される前から薬を飲むことで、糖尿病は予防できるのでしょうか?SU剤、グリニド系薬という分類の薬について調査が行われました。

ここで紹介する研究は、過去の研究報告を集める方法で、糖尿病治療薬が2型糖尿病を予防する効果について調べています。

2型糖尿病は生活習慣が深く関係するタイプの糖尿病です。日本人の糖尿病の大部分が2型糖尿病です。インスリンというホルモンの働きが不足して血糖値が高くなります。

SU剤とグリニド系薬は、どちらもインスリンの分泌を促す薬です。例としてグリメピリド(商品名アマリール)はSU剤、ナテグリニド(商品名スターシス、ファスティック)はグリニド系薬です。

この研究で調査する範囲は、糖尿病のリスクが高いと見られる人(耐糖能異常、空腹時血糖値の異常、HbA1cの軽度上昇)を対象として、SU剤またはグリニド系薬を飲むことにより2型糖尿病の発生が予防または遅らせられるかを調べた研究報告とされました。

 

基準を満たす6件の研究が見つかりました。

その中で次の結果がありました。

グリメピリド単剤と偽薬の比較で、2型糖尿病発症のリスク比は0.75(95%信頼区間0.54-1.04、P=0.08、2件の研究、307人の参加者、非常に低い質のエビデンス)だった。

SU剤であるグリメピリドによって、2型糖尿病の発生が減っているとは言えませんでした

ナテグリニド群の参加者4,645人中の1,674人(36.0%)に2型糖尿病が発生し、偽薬群の4,661人中1,580人(33.9%)に2型糖尿病が発生した(ハザード比1.07、95%信頼区間1.00-1.15、P=0.05、中等度の質のエビデンス)。

グリニド系薬であるナテグリニドによって、2型糖尿病の発生が減っているとは言えませんでした。むしろ計算上は偽薬を飲んだ人の1.07倍の率で2型糖尿病が発生していると見られましたが、統計的に偽薬と同程度とも考えられる範囲でした。

研究班は、調査の結果から、「インスリン分泌促進薬が、主に偽薬と比較して、2型糖尿病の発生リスクが高い人に対して2型糖尿病および関連合併症の発生リスクを減らすかどうかを示す十分な証拠はない」と結論しています。

 

SU剤もグリニド系薬も、2型糖尿病と診断された人にはよく出される薬ですが、今回の調査では、予防として使うことを支持するデータは見つかりませんでした。

2型糖尿病の予防にはまず食事の改善と運動が勧められます。薬を使うことが本当に効果的なのかどうかは、場面に応じて実際のデータを参照することで、より間違いの少ない判断ができるようになります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Insulin secretagogues for prevention or delay of type 2 diabetes mellitus and its associated complications in persons at increased risk for the development of type 2 diabetes mellitus.

Cochrane Database Syst Rev. 2016 Oct 17. [Epub ahead of print]

[PMID: 27749986]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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