2016.03.15 | ニュース

膝の手術「人工膝関節単顆置換術」、経験が多い医師のほうが再手術が少なかった

イギリス45万人の治療データから
from The Journal of bone and joint surgery. American volume
膝の手術「人工膝関節単顆置換術」、経験が多い医師のほうが再手術が少なかったの写真
(C) lenets_tan - Fotolia.com

変形性膝関節症や関節リウマチの代表的な治療に膝の手術があります。人工関節全置換術のほか、関節の一部だけを人工関節に置き換える人工膝関節単顆置換術という方法もあります。これらの手術を行う医師の経験量による違いが報告されました。

◆医師の経験によって手術の結果は違うか?

変形性膝関節症などで関節の軟骨などが傷ついてしまうと、元に戻ることはありません。傷ついた関節を人工関節に置き換える手術には痛みなどの症状を改善する効果があります。最も多く行われるのが、関節全体を置き換える人工関節全置換術(TKR)ですが、関節の一部だけを置き換える人工関節単顆置換術(UKR)も行われています。どちらの手術でも、わずかながら手術後に症状の悪化などによって再手術が必要になる場合があります。

この研究は、イギリスの統計から、TKRを受けた422,149人と、UKRを受けた37,131人の患者のデータを使って、手術を行った医師の経験量と結果の関係を解析しました。

 

◆TKR、UKRともに関連あり

次の結果が得られました。

UKRのあとの再手術率は、経験症例数が年間10例に届くまでは急峻に低下し、30例でプラトーに達した。年間に行うUKRが10件未満の外科医に対しては、UKRの8年維持率は87.9%(95%信頼区間86.9%-88.8%)であり、対して年間30件以上のUKRを行う外科医では92.4%(95%信頼区間90.9%-93.6%)だった。TKRの解析からは、経験症例数の増加に対して線形の再手術率の減少が見られた(経験症例数5件の増加に対して再手術のハザード比0.99、95%信頼区間0.98-0.99)。

年間で行うUKRが30件未満の医師では、UKRのあとの再手術が多くなっていましたTKRについても、経験量が多い医師のほうが再手術が少ない傾向が見られました

ただし、この結果は、再手術を必要としにくい患者を多く手術している医師のほうが手術件数が多くなると考えても説明できます。医師の技術が主な要因なのか、患者の偏りが主な要因なのかという観点からも検討が行われましたが、はっきりとした結果は得られませんでした。この点について次の結果がありました。

UKRの経験症例数が少ない外科医は、より若く健康な患者の手術を行っている傾向があり、人工関節のゆるみと痛みに対して再手術を行うことがより多かった。

UKRの件数が少ない医師に手術を受けた人は、若く健康であった傾向が見られました。

研究班は、原因については留保しつつ、「この研究はUKRと、ある程度にはTKRに対しても、術後維持率を決定する要因としての手術経験症例数の重要さを確かめた」と結論しています。

 

医師の経験量がどのように関わっているかは結論が出ませんでしたが、医師によって再手術の頻度に違いがあるという結果でした。手術を受けるときには、再手術について予期されるリスクの詳しい説明を聞くことが、納得したうえで治療を受けるために重要と言えるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Effect of Surgical Caseload on Revision Rate Following Total and Unicompartmental Knee Replacement.

J Bone Joint Surg Am. 2016 Jan 6.

[PMID: 26738897]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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