2016.11.13 | ニュース

キャベツを巻くと、膝の痛みが薬と同じぐらい治まった!

81人の試験で検証

from The Clinical journal of pain

キャベツを巻くと、膝の痛みが薬と同じぐらい治まった!の写真

長引く膝の痛みの原因で一番多いのが変形性膝関節症です。重症では手術が必要になります。薬などいろいろな治療が試されていますが、決定的なものは見つかっていません。新たにキャベツの葉を巻く方法の研究が行われました。

ドイツの研究班が、キャベツの葉を巻く治療を変形性膝関節症に試した研究の結果を専門誌『Clinical Journal of Pain』に報告しました。

変形性膝関節症は、加齢などにより膝の軟骨がすり減って痛みや動かしにくさを現す変化です。一度傷付いた軟骨は再生しないので、変形性膝関節症はしだいに進行し、治ることはありません。

この研究では、変形性膝関節症の進行度がステージIIまたはIIIの人が対象とされました。ステージIIとステージIIIは、ある程度進行し、手術が検討されることもある状態です。

平均年齢65歳の変形性膝関節症の患者81人が集められました。対象者はランダムに3グループに分けられ、それぞれ治療を受けました。

  • 毎日2時間以上キャベツを巻くグループ
  • 毎日1回以上痛み止めのジェルを塗るグループ
  • 通常のケアをするグループ

痛み止めのジェルとして、薬剤1gあたり10mgのジクロフェナクが使われました。ジクロフェナクは痛み止めの成分として広く使われています。日本で処方箋なしで買える薬としてはボルタレンACゲルなどが1gあたり10mgのジクロフェナクを含んでいます。

 

4週間の治療によって次の結果が得られました。

4週後、キャベツ葉ラッピング群の患者が報告した痛みは通常ケア群に比べて有意に少なかった(差-12.1、95%信頼区間-23.1から-1.0、P=0.033)が、局所鎮痛薬ジェル群と比較すると差がなかった(差-8.6、95%信頼区間-21.5から4.4、P=0.190)。

キャベツを巻いたグループで、通常のケアのグループよりも痛みが弱くなっていました。痛み止めのジクロフェナクと比べると痛みに差が見られませんでした。

膝の機能や生活の質の質問紙でも効果が見られました。

 

キャベツを巻く治療の効果を示すデータが得られました。キャベツに含まれる何らかの成分が炎症や痛みを抑えるように作用していたのかもしれません。

変形性膝関節症の治療として、手術や塗り薬のほかにもいろいろな方法が研究されています。

  • 運動・リハビリ
  • 飲み薬
  • 関節内注射(特にステロイド薬)
  • ヒアルロン酸の関節内注射
  • 多血小板血漿の関節内注射
  • 電気刺激

それぞれ効果があるとした報告があります。ほかにも多くの治療法について研究報告が出されています。

一方で、ドラッグストアなどに行くとグルコサミンやコンドロイチンのサプリメントも売られています。グルコサミン、コンドロイチンについては「効果がない」とした研究があるなど、支持しない専門家が多数派です。

また、ヒアルロン酸注射の効果を調べた研究はたくさんありますが、「飲むヒアルロン酸」を同じように考えることはできません。ここで紹介したキャベツの効果も、キャベツを食べたときに同じ効果がありそうだとは言えません。

キャベツを巻く方法も、この1件の報告だけで「確かに有効」と決めることはできません。試してみてもいいでしょうし、効果があるかもしれませんが、ほかの方法もいろいろあることと、一度傷付いた軟骨は元に戻らないことを頭に置いていてください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Efficacy of Cabbage Leaf Wraps in the Treatment of Symptomatic Osteoarthritis of the Knee: A Randomized Controlled Trial.

Clin J Pain. 2016 Nov.

[PMID: 26889617]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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