2015.11.29 | ニュース

変形性膝関節症の痛みに関節内ステロイド注射、やっぱり効く?

複数の研究報告から検証

from The Cochrane database of systematic reviews

変形性膝関節症の痛みに関節内ステロイド注射、やっぱり効く?の写真

膝の痛みなどの症状がある変形性膝関節症は、重症では手術が必要とされますが、ほかにも痛みを抑えるさまざまな治療法が研究されています。ステロイド薬の関節内注射については多くの研究があり、これまでの研究をまとめた結果が報告されました。

◆最近の論文を含めて収集

ステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている副腎皮質ステロイド副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている)は炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るを抑え痛みを和らげる作用が知られ、さまざまな場面で使われます。全身に使うと免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患の働きが抑えられるなどの副作用も知られていますが、変形性膝関節症の治療では関節の中にだけ注射する方法で使われます。

この報告は、過去の論文を吟味する方法で、変形性膝関節症の治療としてステロイド薬が痛みや運動機能などに及ぼす効果と副作用を調べました。2006年にもそれまでの論文のまとめが報告されていましたが、新しい論文を含めた検証が改めて行われました。

 

◆痛みと機能改善に効果あり、副作用は見られず

次の結果が得られました。

合計1,767人の参加者を含む27件の試験(13件は新しい研究)がこのアップデートに採用された。

副腎皮質ステロイド関節内注射は、対照介入に比べて痛みを減らす効果がより大きく見え(標準化平均差-0.40、95%信頼区間-0.58から-0.22)、偽注射と比べたとき痛みのスコアとして10cm VASで1.0cmの差に対応し、有益なアウトカムを加えるために治療する必要がある人数(NNTB)に換算すると8(95%信頼区間6-13)となった。

副腎皮質ステロイドは対照介入に比べて機能の改善効果がより大きく見え(標準化平均差-0.33、95%信頼区間-0.56から-0.09)、それに対応する標準化WOMAC障害スケールのスコアは0から10の範囲において-0.7の差であり、NNTBに換算すると10(95%信頼区間7-33)だった。

副腎皮質ステロイド群の参加者は有害事象を経験することが11%少なかったが、信頼区間は効果0を含んでいた(相対リスク0.89、95%信頼区間0.64-1.23、I2=0%)。

見つかった27件の研究をまとめたところ、ステロイド薬の関節内注射により痛みと機能改善に効果があると見られました。また、治療によって副作用があるとは見られませんでした。

 

以前に紹介した論文ではステロイド薬の関節内注射による効果を確かめられなかったことが報告されていましたが、ここではある程度の効果が見られました。

対象者の選び方など、研究の方法によって結果が変わる可能性があり、複数の研究をまとめて得られた結論が、そのうち特定の場合には当てはまらないことも考えられます。さらに論点を絞った検証のために、こうした結果が手掛かりになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Intra-articular corticosteroid for knee osteoarthritis.

Cochrane Database Syst Rev. 2015 Oct 22

[PMID: 26490760]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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