軽度認知障害に対する脳トレの効果
高齢化に伴い、認知症はさらに重要な問題になっていくと思われます。軽度認知障害のある人を対象にしたトレーニングプログラムの効果について検証が行わました。
◆ 脳トレーニングが軽度認知障害に与える効果
アメリカで軽度認知障害(物忘れや記憶障害があるが全般的な認知機能は正常に保たれている、認知症の手前の段階)のある127名が対象とされました。12週間、集中的に脳トレーニングプログラムが実施され、認知機能や脳の検査の変化が計測されました。
参加者は
- 2時間/週 記憶や注意能力を目標としたコンピュータでの脳トレーニング
- 1時間/週 食事やストレス軽減方法、睡眠の改善や瞑想などのカウンセリングと教育
- 2時間/週 コンピュータ装置を用いた記憶や注意、気分、睡眠の改善をはかるトレーニング (12週間で合計60時間)
を行いました。
◆ 脳トレーニングは軽度認知障害を改善させる
以下の結果が得られました。
プログラム後の評価で、84%の患者に統計学的に
有意 に認知機能が改善したことが見られた(p<0.05)。プログラム後に定量的MRI を受けた中からランダムに選ばれた17名の患者のうち、12名の患者はMRIにて海馬に萎縮 がないか、実際にはベースライン量以上の成長があるかのどちらかの所見 があった。
集中的な脳トレーニングを行った人の84%で、認知機能が改善しました。そして、一部の人では脳画像で通常なら時間とともに進む萎縮が見られませんでした。
今後高齢者の増加に伴い、認知障害を呈する方は多くなっていきます。これからも認知機能を守るためさらに効果的な方法が待ち望まれます。
執筆者
A Personalized 12-week “Brain Fitness Program” for Improving Cognitive Function and Increasing the Volume of Hippocampus in Elderly with Mild Cognitive Impairment.
J Prev Alz Dis. 2016 Feb 8. [Epub ahead of print]
http://www.jpreventionalzheimer.com/1665-a-personalized-12-week-brain-fitness-program-for-improving-cognitive-function-and-increasing-the-volume-of-hippocampus-in-elderly-with-mild-cognitive-impairment.html※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。