2016.02.24 | ニュース

半年に1回の注射がリウマチに効果あり

日本人関節リウマチ患者の調査から

from Annals of the rheumatic diseases

半年に1回の注射がリウマチに効果ありの写真

デノスマブは、骨を増やす作用があり、骨粗鬆症の治療等に使用されています。今回著者らは日本人関節リウマチ患者においてデノスマブ処置法を変えた場合の効果を調べました。

◆350名の関節リウマチ患者を対象に試験

著者らは以下の調査を行いました。

この多施設無作為偽薬対照のフェイズII試験において、発症6ヶ月から5年未満の日本人関節リウマチ患者350名が、グルココルチコイド使用とリウマチ因子状態で層別化し、無作為に偽薬またはデノスマブ60mgを6ヶ月ごと(Q6M)、3ヶ月ごと(Q3M)または2ヶ月ごと(Q2M)の皮下注射に割り付けられた。

つまりデノスマブをで6ヶ月間隔、3ヶ月間隔、2ヶ月間隔で注射した群と、偽薬を注射した群の比較を行いました。全被験者は抗リウマチ薬であるメトトレキサートを併用し、カルシウムとビタミンD補充も行いました。X線写真を用いて関節破壊を評価する方法で、効果を測定しました。

 

◆6ヶ月間隔でも骨破壊抑制

著者らは以下の結果を得ました。

デノスマブは投与後12ヶ月時の骨びらん進行を、偽薬と比較して有意に阻害できた。基準線から12ヶ月での改変シャープ骨びらんスコアの平均変化は、対照群が0.99、6ヶ月ごと処置群では0.27(対照群との比較、p=0.0082)、3ヶ月ごと処置群では0.14(p=0.0036)、2ヶ月ごと処置群では0.09(p<0.0001)であった。

つまり、関節リウマチにおける骨破壊の進行が、6ヶ月間隔のデノスマブで約73%抑制されました。3ヶ月間隔では約86%、2ヶ月間隔では約91%の抑制となりました。明らかなデノスマブによる副作用は見られませんでした。

著者らは、「メトトレキサート処置に対するデノスマブの追加は、関節破壊の危険要因を伴う関節リウマチ患者の新しい治療オプションになり得る」と述べています。

 

目立った副作用が見られない点も含め、有効な結果と言えます。骨の変化を防ぐことにより生活の質も含めた十分な改善が得られるかについて、今後、更なる調査が必要と思われます。

執筆者

高田

参考文献

Effect of denosumab on Japanese patients with rheumatoid arthritis: a dose-response study of AMG 162 (Denosumab) in patients with RheumatoId arthritis on methotrexate to Validate inhibitory effect on bone Erosion (DRIVE)-a 12-month, multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, phase II clinical trial.

Ann Rheum Dis. 2015 Nov 19.

[PMID: 26585988 ]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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