2016.02.18 | ニュース

前十字靭帯損傷の手術で起こりやすい合併症は?

4,933人の手術例から
from The American journal of sports medicine
前十字靭帯損傷の手術で起こりやすい合併症は?の写真
(C) VadimGuzhva - Fotolia.com

前十字靭帯損傷はスポーツでよく起こり、多くは手術などの治療により元の活動に復帰できます。しかし、手術にともなって起こりうる問題(合併症)もあります。よく起こる合併症の頻度や背景が調査されました。

◆手術後30日以内にどんな問題が起こったか?

一般に、手術のあとには血液の流れが悪くなることで血管の中に血の塊ができ、血管の流れを止めてしまう血栓症が起こりやすくなります。血栓症には、手足の深い部分の静脈が詰まって痛みやむくみを起こす深部静脈血栓症、血の塊が肺の血管に詰まってしまう肺塞栓症などがあり、特に肺塞栓症は命に関わります。血栓症のほかに、手術で傷付いた部分などから感染が起こることもあります。

研究班は、前十字靭帯再建手術を受けた人を対象に、手術後30日までの合併症を集計しました。また、対象者の背景と合併症の関係を統計解析しました。

 

◆血栓症、感染症、肺塞栓など

対象となった4,933人のうちで、次の結果が得られました。

最も頻繁に見られた合併症は、症候性で治療を要する深部静脈血栓症(27件、0.55%)、手術室に戻ること(18件、0.36%)、表在感染症(10件、0.20%)、深部感染症(7件、0.14%)、肺塞栓(6件、0.12%)だった。1件の死亡例があった(0.02%)。多変量解析により、喫煙、呼吸困難、慢性閉塞性肺疾患の既往、最近の体重減少がすべて、合併症全体の発生のリスク因子であったが、これらを組み合わせても、合併症率の分散の3%しか説明できなかった。

深部静脈血栓症が全体の0.55%で起こったほか、肺塞栓症が6件ありました。1人は死亡しました。喫煙、呼吸困難、慢性閉塞性肺疾患、手術直前の体重減少があった人ではわずかに合併症が多いという関連が見られました。

研究班はこれらの結果から、「前十字靭帯再建手術は選択的手技であるため、外科医は患者にリスクについて教え、患者の選択についての意思決定の助けとするためこの情報を利用するべきである」と結論しています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Risk Factors for Short-term Complications of Anterior Cruciate Ligament Reconstruction in the United States.

Am J Sports Med. 2016 Jan 20. [Epub ahead of print]

[PMID: 26792706]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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