◆2000年から2014年の状況
ここで紹介するアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告は、WHOに報告された症例数などの情報をもとに、2000年から2014年にかけて、世界で風疹の流行と予防接種の状況がどう変わったかをまとめています。
2000年から2014年の間に、風疹を含むワクチン(MMRワクチンなど)を定期的に接種する国は99か国から140か国に増え、風疹患者の報告数は2000年のおよそ67万人から、2014年にはおよそ3万3千人に減りました。日本を含む西太平洋地域では、2014年に12か国で先天性風疹症候群が報告されたことを含め、1万人を超える人に風疹が発症しました。
ワクチン接種について、アメリカ地域では2014年には調査対象の35か国すべてで接種が行われていましたが、西太平洋地域では89%にとどまりました。
◆風疹排除は可能!
報告は、以上の事実をもとに、次の考察を加えています。
今年アメリカ地域で風疹ウイルス感染の停止が宣言されたことは、風疹ワクチンを乳児のワクチン接種スケジュールに導入し、加えて幅広い年齢での接種キャンペーン(すなわち、乳児から15歳まで、ある場合には39歳まで)を行うことによって風疹と先天性風疹症候群の排除が達成可能であることを証明する。しかし、風疹排除のゴールを達成するための主要な課題は、政情不安(東地中海地域)、医療提供システムが弱く定期的ワクチン接種率が低いこと(アフリカと東南アジア)、ワクチン接種に消極的であること(ヨーロッパ)である。
アメリカ地域ではワクチン接種によって風疹の排除が達成されました。ほかの地域ではワクチン接種が十分になされないなどの問題もありますが、アフリカ、東地中海、東南アジアを除き、ヨーロッパと西太平洋地域では、アメリカ地域と同様に風疹の排除が目指されています。風疹対策の重要さを改めて強調する報告です。
執筆者
Global Progress Toward Rubella and Congenital Rubella Syndrome Control and Elimination - 2000-2014.
MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2015 Sep 25
[PMID: 26401958]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。