◆硝酸イソソルビド治療を行う群とプラセボ群を比較
裂肛の診断を受けた37名の患者を、血流をよくする働きがある硝酸イソソルビドの軟膏を用いて治療する群と、偽の薬を使う対照群にランダムに分けました。
その効果を、裂肛の治癒、再発などで評価し、検証しました。
◆硝酸イソソルビドで治療するとより改善する
以下の結果が得られました。
[...]、イソソルビド群では17人が、対照群では6人が治癒した(p<0.003)。
裂肛は、イソソルビドに対して初期に良い反応を示した2人の患者で再発し、対照群では2人で再発した。
硝酸イソソルビドで治療した群のほうが、より治癒した人数が多いという結果でした。再発に対する予防効果は見られませんでした。
筆者らは、「硝酸イソソルビドは、裂肛に効果的な治療であり、プラセボよりも有意に優れている。」と述べています。
今回紹介した硝酸イソソルビドは、海外では多く使用されていますが、日本では裂肛の標準治療とはされていないものです。
『肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン』では、裂肛の第一選択は保存的治療であることが記載されていますが、効果が知られた薬の中には、このように自由には使えないものもあります。使用を検討したい方は、ほかの薬との違いなども含めて、医師にご相談ください。
執筆者
Isosorbide dinitrate in the treatment of anal fissure: a randomised, prospective, double blind, placebo-controlled trial.
Eur J Surg. 2001 May
[PMID: 11419556]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。