2015.09.14 | ニュース

大人の喘息、長時間作用性抗コリン薬は使ったほうがいいのか?

5件のレビューから

from The Cochrane database of systematic reviews

大人の喘息、長時間作用性抗コリン薬は使ったほうがいいのか?の写真

喘息の治療薬には、代表的なステロイド吸入剤のほか、抗コリン薬、β刺激薬などがあり、これらが組み合わせて使われます。その一種である長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の成人に対する効果について、これまでの研究結果がまとめられました。

◆成人にステロイド吸入と併用の効果を調査

研究班は、過去の研究から、LAMAの効果について調べたものを集めました。喘息の症状が十分に抑えられていない成人を対象として、ステロイド吸入剤単独で治療した場合とLAMAを併用した場合を比べたものを採用し、効果と安全性について結果をまとめました。

 

◆悪化が減少

一定の基準を満たした5件の研究から、次の結果が得られました。

悪化により経口副腎皮質ステロイドが必要とされる率は、ICS単独治療を受けた患者よりも、同じ用量のICSに加えてLAMAの追加を処方されていた患者で少なかった(オッズ比0.65、95%信頼区間0.46-0.93、2,277人の参加者について、4件の研究から、I2=0%、高い質のエビデンス)[...]。

[...]LAMAは偽薬に対して報告されたよりも有意に高い有害事象の率と関連しなかった。

LAMAを併用したほうが、喘息の症状が悪化する割合が少なくなったという結果でした。副作用は統計的に指摘されませんでした。

研究班は「喘息に対して吸入副腎皮質ステロイドを使用中であり、長時間作用性β2刺激薬を使用中でない成人に対して、追加治療としてのLAMAは経口副腎皮質ステロイドによる治療を必要とする悪化の確率を減らし、肺機能を改善する」と結論しています。


喘息の治療にはさまざまな薬が使われますが、より適切な組み合わせを考えるうえで、こうした結果が手掛かりになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Long-acting muscarinic antagonists (LAMA) added to inhaled corticosteroids (ICS) versus the same dose of ICS alone for adults with asthma.

Cochrane Database Syst Rev. 2015 Aug 24 [Epub ahead of print]

[PMID: 26301488]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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