2015.09.11 | ニュース

プラダー・ウィリー症候群では脂肪肝のリスクが低い?

63人の観察研究
from Pediatric obesity
プラダー・ウィリー症候群では脂肪肝のリスクが低い?の写真
(C) kwanchaichaiudom - Fotolia.com

プラダー・ウィリー症候群は、肥満や発達の遅れといったさまざまな症状を表す先天性の病気です。しかし、イタリアなどの研究班が、プラダー・ウィリー症候群の患者では代謝に良い傾向が見られたことを報告しました。

◆21人の患者と42人の対照参加者を解析

プラダー・ウィリー症候群は、遺伝することはほとんど無いと考えられていますが、染色体異常などの原因で、子どもに生まれつき起こります。肥満とともに糖尿病動脈硬化が進行することも多いとされています。

この研究は、プラダー・ウィリー症候群の患者21人と、年齢やBMI(体重÷身長の2乗)などが近い対照群42人について、血液検査値や、肝臓の超音波検査の結果を比較しました。

 

◆対照群のほうがNAFLD G2ステージが多い

次の結果が得られました。

プラダー・ウィリー症候群患者は有意に良好な代謝プロファイルを示した(腹囲、空腹時血糖、HOMA-IR、コレステロール、トランスアミナーゼ、体幹脂肪量/脂肪量比が低い)。さらに、NAFLD G1ステージプラダー・ウィリー症候群患者で有意に多く(P<0.05)、G2ステージは対照群で有意に多かった(P<0.05)。

対照群よりもプラダー・ウィリー症候群患者のほうが腹囲、血糖値、コレステロール値などが良好でした。また、肝臓の検査で見られた非アルコール性脂肪性肝疾患NAFLD)の程度が「G2ステージ」という段階にあった人は対照群のほうが多く、より軽度の「G1ステージ」にあった人はプラダー・ウィリー症候群患者のほうが多くなっていました。

研究班は「知る限り、この報告はプラダー・ウィリー症候群の子どもでNAFLDのリスクが減少することを示唆した初めてのものである」と述べています。

 

プラダー・ウィリー症候群がどのようなしくみで肥満などの症状を起こすのか、正確にはわかっていません。病態の解明に向けて、研究が重ねられています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Non-Alcoholic Fatty Liver Disease (NAFLD) in children and adolescents with Prader-Willi Syndrome (PWS).

Pediatr Obes. 2015 Jul 1 [Epub ahead of print]

[PMID: 26132376]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。