2015.08.08 | ニュース

遺伝性の難病ハンチントン病を治療、新薬PBT2の効果は?

109人の第2相ランダム化試験
from The Lancet. Neurology
遺伝性の難病ハンチントン病を治療、新薬PBT2の効果は?の写真
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ハンチントン病は、遺伝によって発症し、不随意運動や認知機能障害などの症状を起こします。治療は対症療法にとどまります。認知機能に対する効果を期待して新薬の研究が行われ、実際の患者で機能テストの成績に改善が見られました。

◆量を変えて治療に使用

研究班は、25歳以上の早期から中期のハンチントン病の患者を対象として、PBT2を1日1回250mg使うか、100mg使うか、偽薬を使うかの3グループに分け、治療による安全性と効果を調べました。

 

◆Trail Making Testに改善あり

次の結果が得られました。

2012年4月18日から2012年12月14日の間に、オーストラリアとアメリカの19の研究施設で、109人の参加者が250mgのPBT2(36人)、100mgのPBT2(38人)、または偽薬(35人)に割り付けられた。

6件の深刻な有害事象(急性冠症候群、うつ病肺炎、自殺企図、ウイルス感染症ハンチントン病の悪化)が、250mgのPBT2群の5人の患者に対して起こり、3件(硬膜下血腫を伴う転倒、自殺企図、ハンチントン病の固定化による入院)が100mgのPBT2群の2人に対して起こり、偽薬群の1人に対して1件(攻撃性の増加)が起こった。各施設の研究者は、ハンチントン病の悪化を除くすべてを、試験薬とは関連がないものと判定した。

治療中に起こった深刻な出来事が、250mgのグループで6件、100mgのグループで3件、偽薬のグループで1件見られましたが、そのうち250mgのグループで起こった1件以外は、PBT2が原因ではないと考えられました。

効果について次の結果が得られました。

偽薬と比べて、Trail Making Test Part Bのスコアは、ベースラインから26週までの間で、250mgのPBT2群で改善した(17.65秒、0.65-34.65、P=0.042)[...]。

250mgのグループで、Trail Making Test Part Bのスコアが偽薬のグループよりも改善しました。つまり、1日250mgのPBT2を使ったときに、脳機能が改善する効果が見られました

 

脳機能のうちでも一部に限られますが、効果を示唆する結果が得られました。ハンチントン病の根治療法は見つかっておらず、効果的に症状を和らげる治療が望まれています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Safety, tolerability, and efficacy of PBT2 in Huntington's disease: a phase 2, randomised, double-blind, placebo-controlled trial.

Lancet Neurol. 2015 Jan

 

[PMID: 25467848]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。