2016.07.15 | ニュース

遺伝性の難病ハンチントン病に新薬デューテトラベナジンの効果と安全性を検証

アメリカとカナダで90人の試験から

from JAMA

遺伝性の難病ハンチントン病に新薬デューテトラベナジンの効果と安全性を検証の写真

ハンチントン病は、体が勝手に動く症状から「舞踏病」とも言われ、親から子へ遺伝する病気です。治療は対症療法にとどまります。新薬デューテトラベナジンで症状を和らげる効果が検討されました。

◆ハンチントン病患者90人を治療

ここで紹介する研究は、一定以上の症状があるハンチントン病患者90人を対象に、アメリカとカナダの参加施設で行われました。

対象者はランダムに、デューテトラベナジンで治療するグループと、有効成分を含まない偽薬を使うグループに分けられ、治療開始から12週後までの間の変化を判定されました。

 

◆デューテトラベナジンで症状スコアが改善

次の結果が得られました。

デューテトラベナジン群では、最大舞踏病スコアが12.1(95%信頼区間11.2-12.9)から7.7(95%信頼区間6.5-8.9)に改善した。対して偽薬群では、スコアは13.2(95%信頼区間12.2-14.3)から11.3(95%信頼区間10.0-12.5)に改善した。群間の平均差は-2.5ユニット(95%信頼区間-3.7から-1.3、P<0.001)だった。

うつ症状、不安症状、アカシジアを含む有害事象の率は、デューテトラベナジンと偽薬に対して類似していた。

偽薬のグループよりもデューテトラベナジンを使ったグループのほうで、症状のスコアがより大きく改善しました

副作用の疑いがあるうつ症状などが出る頻度は、偽薬のグループとデューテトラベナジンのグループで大きな違いがありませんでした。

 

治療が難しいハンチントン病に対して、新しい治療法を探る試みがいまも続けられています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Effect of Deutetrabenazine on Chorea Among Patients With Huntington Disease: A Randomized Clinical Trial.

JAMA. 2016 Jul 5.

[PMID: 27380342]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る