はんちんとんびょう
ハンチントン病
不随意運動(自分の意思に反して身体が動いてしまうこと)や、認知症、人格の変化等を特徴とする遺伝性の神経疾患
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最終更新: 2022.02.20
ハンチントン病の基礎知識
POINT ハンチントン病とは
脳の大脳基底核という部分が萎縮してしまう病気です。遺伝性の病気で、常染色体優性遺伝(後述)という形式で遺伝します。不随意運動(自分の意志に反して身体が動いてしまうこと)・認知症・人格変化などが特徴的な症状です。検査には問診・頭部MRI検査・遺伝子検査などを行います。現在のところ根本的な治療法は見つかっていはいませんが、薬物治療によって症状を和らげることができます。血縁者にハンチントン病の患者さんがいる人が、手足が勝手に動いてしまう・手足の細かい運動がしにくくなる・落ち着きがなくなるなどの症状が現れた場合は神経内科で相談してみてください。
ハンチントン病について
- 自分の意思に反して身体が動いてしまう
不随意運動 や、認知症、人格の変化等を特徴とする遺伝性の神経疾患常染色体優性遺伝 する(両親のどちらかが異常な遺伝子を持っている場合、子どもは50%の確率で発症 する)
- 脳内の大脳基底核と呼ばれる部分が
萎縮 してしまうために生じる- 大脳基底核は、身体を動かすことや感情、学習などに関与する部位である
- 発症する平均年齢は30-40代に多い
ハンチントン病の症状
- 主な症状
不随意運動 :自らの意思とは関係なく、手足が決まった動きをしてしまう- 手足や舌の比較的素早く不規則で、踊っているようにも見えるような動きが特徴(以前は「ハンチントン舞踏病」とも言われていた)
- 運動障害:手足の細かい運動が難しくなる
- 精神障害
- 人格の変化
- 症状はゆっくりと進行する(悪化する)
- 症状の現れ方は個人で異なる
- 代表的な運動に現れる初期症状
- 細かい運動がしにくくなる
- 顔をしかめたり、手足が勝手に動いてしまう
- まばたきが頻繁に現れる など
- 代表的な心に現れる初期症状
- 落ち着きがなくなる
- 怒りやすくなる
- 無気力になる
- ふさぎ込む
- 物忘れ:あまり目立たない など
- 症状が進行すると歩く、食べる、話すといった動作が困難になり、やがて寝たきり状態になってしまう(10~20年程度かかる)
- 長期的には、
感染症 や誤嚥及び窒息などの合併症 で死に至ることが多い
- 長期的には、
- うつ症状が強い場合、自殺を試みる場合もある
発症 年齢が20歳以下と若い場合、知能低下が著しく、進行が早いことが特徴である
ハンチントン病の検査・診断
- まずは診察で症状や家族歴からハンチントン病を疑う
- ただし似た症状を引き起こす病気も多いため、確定診断には検査が必要である
頭部MRI 検査:この病気に特徴的な大脳基底核の変性 を調べる- 遺伝子検査:原因となる遺伝子を受け継いでいるかを調べる
ハンチントン病の治療法
- 根本的な治療方法はないが、薬を用いてそれぞれの症状をやわらげることはできる
不随意運動 をやわらげるために用いられる薬- ハロペリドール
- チアプリド
- オランザピン
- リスペリドン
- テトラベナジン など
- 精神症状をやわらげるために用いられる薬
- ハロペリドール
- クロルプロマジン