夏場に流行するウイルス性疾患②〔小児科に行く前に〕

夏場に流行するウイルス性疾患にアデノウイルスによる感染症があります。プール熱(咽頭結膜熱)もアデノウイルス感染症の一種です。今回はアデノウイルス感染症について解説します。アデノウイルスに感染しても全ての方が「咽頭結膜熱(プール熱)」を発症するわけではありませんのでご注意ください。
◆アデノウイルスってどんなウイルス?
アデノウイルスに感染すると、肺炎、上気道炎、咽頭炎、咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎、出血性膀胱炎、腸炎など、様々な
その中でも、保護者の皆さんが良く耳にするのが、咽頭結膜熱(プール熱)だと思います。
咽頭結膜熱は発熱、喉の
◆どうやって診断するの?
診断は、症状や流行の状況から判断し、咽頭の拭い液からの迅速検査、もしくは血液検査から確定診断します。咽頭結膜熱は学校保健安全法上、学校
問題となるのが、咽頭の拭い液の迅速検査で陽性となり、症状としては喉の症状と熱の症状だけという場合です。これを咽頭結膜熱というのかという点です。
咽頭結膜熱の定義を感染症法の記載から見てみると、
「診断した医師の判断により、症状や
①発熱・咽頭
②
上記の基準は必ずしも満たさないが、診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当該疾患と診断されたもの」
となっています。
定義からすると、熱と喉の赤みだけでは咽頭結膜熱ではないということになります。この場合には出席停止にはなりませんし、症状改善時の登園、登校許可書は必要になりません。しかし、病気というのは時間の経過とともに変化します。診断した時に熱と喉の症状だけでも、その後目の症状が出ることがありますので注意してください。
◆治療について
アデノウイルス感染症は、咽頭炎でも咽頭結膜熱でも根本的に治療する薬剤はありません。発熱は5日程度つづくことが多いですが、基本的にこまめに水分を摂取したり、症状を和らげる解熱剤などを使用しながらこどもの免疫力で治るのを待ちます。
他のウイルス感染症に比べやや症状が長くなりがちです。症状が長引くときには体力も落ちやすいため、しっかりとした
【編集部注】
この記事は、「キャップスクリニック」のサイトで公開中の記事をもとに作成しています。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。