◆徒手的リンパドレナージを施行する群としない群にランダムに振り分け
今回の研究では、膝の大きな手術である「人工膝関節全置換術」を受けた患者43名を、徒手的リンパドレナージを行う群と行わない群の2群にランダムに振り分け、膝関節を動かせる範囲の広さや痛みなどに対する効果を、以下のように検証しました。
介入:術後2〜4日の徒手的リンパドレナージ(行わなかった場合が対照)。どちらの群も伝統的な手術に付随した理学療法を行った。
臨床評価:手術前後および手術後徒手的リンパドレナージ後(2〜4日)、術後6週で実施した。
臨床評価は、膝関節の屈曲、伸展の自動関節可動域、下肢の周径(足首、膝蓋骨中央、大腿、ふくらはぎ)、[...]膝の痛みとした。
◆徒手的リンパドレナージを行うと、膝関節の屈曲可動域がより改善する
調査の結果、以下のことを報告しました。
有意な群効果は自動の膝関節可動域に認められ、post hoc検定によって徒手的リンパドレナージを行った群では、行わなかった群と比較して、退院前最後の手術後4日および6週間後の評価で有意に改善が見られた。
ほかの患者立脚型アウトカムおよび機能に関して、有意な群効果は認められなかった。
徒手的リンパドレナージを行うと、行わない場合と比べて、術後4日と6週間後の時点で、膝を曲げる角度がより改善した、という結果でした。その他の評価には、差がありませんでした。
筆者らは、「徒手的リンパドレナージにより手術後6週間まで膝関節の可動域が改善する可能性がある」と述べています。
今回の研究結果のみではその効果は断定できませんが、人工膝関節全置換術後の膝関節可動域の改善はリハビリテーションの大きな目標でもあるため、今後の検証に期待したいです。
執筆者
Randomized trial investigating the efficacy of manual lymphatic drainage to improve early outcome after total knee arthroplasty.
Arch Phys Med Rehabil. 2013 Nov
[PMID: 23810354]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。