2016.03.28 | ニュース

乳房切除後に生じるリンパ浮腫に対し、複合的理学療法と家庭での運動は有効か?

60人を検証
from Journal of physical therapy science
乳房切除後に生じるリンパ浮腫に対し、複合的理学療法と家庭での運動は有効か?の写真
(C) japolia - Fotolia.com

乳がんの治療法のひとつに乳房切除術というものがありますが、術後のリンパ浮腫により腕が太くなったり、痛みが出たり、腕が動かしにくくなることがあります。複合的理学療法のリンパ浮腫への効果について、検証されました。

乳がんリンパ節転移しやすいため、手術の際に周囲のリンパ節を取り除くことがあります。しかし、これによりリンパの流れが停滞し、術後にリンパ浮腫(リンパの流れが悪くなることで腕や脚がむくむこと)が生じます。

日本では複合的理学療法と呼ばれるcomplete decongestive therapy(CDT)は、リンパ浮腫を取り除く治療です。リンパ誘導マッサージや運動療法などが組み合わされたものです。研究班は、乳房切除後のリンパ浮腫に対するCDTとホームプログラム(家庭での運動)の有効性について、60人を対象に検証しました。

 

◆従来の治療とCDT+ホームプログラムの効果を検証

研究班は、乳房切除術を受けた60人を従来の治療を実施する群30人と、CDTとホームプログラムを実施する群30人に分けました。従来の治療群には徒手リンパドレナージ(リンパ浮腫を改善するためのマッサージ)、深呼吸エクササイズなどが実施されました。

CDTとホームプログラム群は訓練された理学療法士からCDTを受け、日々のホームプログラムを実施しました。各群ともに週5日、6週間行われました。

 

◆CDT+ホームプログラムで浮腫と上肢機能、痛みが改善

以下のような結果が得られました。

上腕周囲評価は手首、前腕中央、肘、上腕中央そして腋窩の5つのレベルでとられた。上肢機能はDisabilities of the Arm, Shoulder, and Hand (DASH)質問紙を用いて評価され、疼痛は visual analogue scaleを用いて評価された。評価はベースライン、介入開始4週後、6週後に取られた。群内および群間比較はCDT群において優位な改善を示した。

CDT+ホームプログラム群は腕の太さ、痛み、腕や手の機能のスコアが改善しました。

研究班は「したがって、この研究結果はホームプログラムを伴うCDTは乳房切除後リンパ浮腫を減少させるための効果的な治療であることを示した」としています。

 

乳房切除後のリンパ浮腫の人への治療を考える上で、この結果は役立つかもしれません。

執筆者

針谷 遼

参考文献

Effect of complete decongestive therapy and a home program for patients with post mastectomy lymphedema.

J Phys Ther Sci. 2015 Sep.

[PMID: 26504284]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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