2015.04.30 | ニュース

変形性膝関節症に対する関節内ステロイド注射に効果なし

100人で二重盲検法ランダム化比較試験

from JAMA internal medicine

変形性膝関節症に対する関節内ステロイド注射に効果なしの写真

変形性膝関節症は、膝の関節の軟骨がすり減ることで、痛みや日常生活に支障をきたす病気です。 痛みを抑える目的で、膝関節にステロイド薬を注射することがありますが、実際に効果があったという統計的な実績は示されていませんでした。 今回、デンマークの研究チームは運動療法の前にステロイド薬を関節内注射した場合としない場合を比較し、「効果がなかった」と報告しました。

◆変形性膝関節症患者100人を比較

2012年から2014年にわたり、画像検査上で変形性膝関節症所見検査や診察から分かる情報のことがあり、なおかつ炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出る所見が確認されており、歩行時に痛みがある変形性膝関節症患者100人を、関節内注射をする群と偽薬を注射する群にそれぞれ50人ずつランダムに振り分けました(二重盲検法)。

両群とも注射後、運動訓練を12週間行いました。​
注射前、注射後2週間、注射後14週間、注射後26週間でKOOSという質問票を使って痛みや日常生活動作 (ADL) などを評価するほか、客観的に運動機能や炎症所見を調べ、治療によってどのように変化するかを比較しました。

 

◆ステロイド注射による効果がみられない

今回の研究を終えることができた患者は関節内注射の群が45人、偽薬群が44人でした。
KOOSによる痛みの評価スコアは、関節内ステロイド副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている注射群が13.6点改善し、偽薬群が14.8点改善しました。両群に統計的な有意データを分析して導かれた結果が、偶然として説明できる確率は低いとみなされることに差はありませんでした。
また補足評価(疼痛医学用語で、痛みのこと以外の症状を表す指標や筋力といった運動評価など)においても両群に数値の有意な差は見受けられませんでした。
KOOSの痛み以外の指標、運動機能、炎症所見に両群に有意な差は見受けられませんでした。

研究チームは「痛みを伴う変形性膝関節症患者が運動療法の前にステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられているを関節内注射することに効果がなかった。手術以外の治療法に、最適で相乗効果のある組み合わせを確立するためには追加研究が必要」と述べています。

 

膝関節内の炎症を抑えるために行われてきたステロイド薬の注射を再考する必要が出てきそうです。現場で治療にあたられている方は、今回の報告をどのようにお考えでしょうか?

執筆者

佐々木 康治


参考文献

Evaluation of the Benefit of Corticosteroid Injection Before Exercise Therapy in Patients With Osteoarthritis of the Knee: A Randomized Clinical Trial.

JAMA Intern Med. 2015 Mar 30

[PMID: 25822572]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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