2016.02.23 | ニュース

変形性膝関節症の痛みに、ゆっくり効く注射1回で12週間

228人の治療で検証

from The Journal of bone and joint surgery. American volume

変形性膝関節症の痛みに、ゆっくり効く注射1回で12週間の写真

加齢などが原因で膝の痛みが出る変形性膝関節症は、治療が難しく、元の状態に戻す方法はありません。手術以外の治療には炎症を抑えるステロイド薬などがあります。有効成分がゆっくり放出される新薬によって痛みを和らげる効果が検討されました。

◆新薬で痛みは和らぐか?

ステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられているには炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るを抑える強力な効果がある一方、飲み薬や点滴で全身に使うとさまざまな副作用もあります。変形性膝関節症の治療では、おもに関節内注射が使われます。

この研究では、ステロイド薬の一種であるトリアムシノロンアセトニドを有効成分として、従来の薬剤よりもゆっくり放出されるように加工された新製剤「FX006」の効果が調べられました。

対象者は変形性膝関節症の中等度から重度の患者228人でした。対象者はランダムに以下の4グループに分けられました。

  • 10mgのFX006の関節内注射を受ける
  • 40mgのFX006の関節内注射を受ける
  • 60mgのFX006の関節内注射を受ける
  • 40mgのトリアムシノロンアセトニド即時放出剤(従来の薬剤)の関節内注射を受ける

1回の注射から12週間のうちに、膝の痛みが治療によって軽くなるかを比較されました。

 

◆12週後まで痛みは軽くなっていた

次の結果が得られました。

FX006の40mg使用により、2週から12週にかけて痛みの緩和が得られ、トリアムシノロンアセトニド即時放出剤に比べて5週から10週にかけて有意データを分析して導かれた結果が、偶然ではなく「意味が有る」必然的な値であると推測できることに優れていた(各時点においてP<0.05)。

有害事象は概して軽度であり、すべての治療に対して類似していた。

40mgのFX006を1回注射したあと、2週間後から12週間後までの間、痛みが軽くなっていました。5週間後から10週間後の間は従来の薬剤よりもよりよい効果が得られました。従来の薬剤と明らかに違った副作用は見られませんでした。

 

変形性膝関節症の治療にはさまざまな方法が研究されていますが、傷付いた膝を元に戻す方法はなく、痛みや歩きにくさを改善することを目標に、個人ごとに適した方法が使い分けられます。ここで報告された効果も将来の治療に役立つかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

An intra-articular, extended-release formulation of triamcinolone acetonide prolongs and amplifies analgesic effect in patients with osteoarthritis of the knee: a randomized clinical trial.

J Bone Joint Surg Am. 2015 Jun 3.

[PMID: 26041848]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]