道路に隣接した家に住んでいる人は心臓突然死のリスクが高い?

心臓突然死は、「症状が出現してから24時間以内の予期しない内因死」と定義されていて、予測が難しいことが知られています。原因のどれかひとつでも特定できれば、防げる可能性が見えるかもしれません。今回の研究では、ハーバード大学の研究チームが、幹線道路に隣接している家に住むことと心臓突然死の関連性を調査した結果、幹線道路から50m圏内に住んでいる女性に、統計的に心臓突然死が多かったことを報告しました。
◆幹線道路から居住地の距離と心臓突然死の関連性を検討
ハーバード大学の研究チームは以下の調査を行いました。
看護師健康調査に参加した107,130人のなかで、26年間の追跡期間に心臓突然死になった計523人を対象とした。
1986-2012年のすべての住所について、居住地から幹線道路までの距離を計算した。
看護師健康調査のデータから、居住地と幹線道路の距離を調べ、その距離が心臓突然死の
◆幹線道路から50m圏内に住んでいた女性に心臓突然死が多かった
調査の結果、以下のことが報告されました。
年齢と人種で調整したモデルでは、幹線道路から50m圏内に住む女性は、500m圏外に住む女性よりも心臓突然死のリスクが高かった(ハザード比1.56、95%信頼区間1.18-2.05)。
幹線道路から50m圏内に住む人は、心臓突然死のリスクが高かったという結果でした。
筆者らは、先行研究で報告されている、交通による大気汚染と心室性不整脈の関連を理由のひとつとして挙げています。
心臓突然死には大気汚染の影響が示唆されました。しかし、もちろん住環境を評価するには他の病気の影響も考えなければなりませんし、住む場所は病気のリスクだけでは選べません。さらに車や道路の様子が変われば今回の研究と違う結果が出るかもしれません。つねに情報が更新され、住む場所を選ぶために合理的な判断材料が揃っていることが望まれます。
執筆者
Roadway proximity and risk of sudden cardiac death in women.
Circulation. 2014 Oct 21
[PMID: 25332277]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。