2015.05.28 | ニュース

PM2.5は自閉症の子どもを増加させるかもしれない

ハーバード大が1,767名の看護師を調査
from Environmental health perspectives
PM2.5は自閉症の子どもを増加させるかもしれない の写真
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妊娠中に大気汚染に曝露すると、その後生まれてくる子どもの脳の発達が損なわれる可能性が報告されています。今回の研究では、看護師の健康調査によって得られたデータをもとにPM(粒子状物質)による大気汚染と自閉症スペクトラムの関連性を検証しました。その結果、調べたデータには「自閉症スペクトラムになった子どもの母親は、妊娠中、特に妊娠7-9ヶ月時にPM2.5に触れていることが多い」という関係が見られました。

◆自閉症スペクトラムとは

社会性やコミュニケーションに関連する脳の働きに、発達段階で障害が出る病気です。発症のメカニズムは完全には解明されていませんが、遺伝的要因の関係が指摘されており、神経伝達物質(脳細胞の情報伝達に関わる物質)の働きに関わる遺伝が関係すると言われています。

 

◆自閉症スペクトラムとPMの関連性を検証

ハーバード大学の研究チームは、看護師健康調査(NHS II)という研究から得られたデータをもとに、以下の方法で自閉症スペクトラムとPMの関連性を検証しました。

対象は、出生年による頻度マッチングを用いてランダムに選択した、1990-2002年生まれの自閉症スペクトラムの子ども(n=245)と自閉症スペクトラムではない子ども(n=1,522)であった。

大気汚染への曝露は、空間・時間モデルを用いて住所から、月々のPMの平均(PM2.5、PM10-2.5)を推測した。

今回の調査では、自閉症スペクトラムを発症している子どもと発症していない子どもを比較しました。 大気汚染については、PMにどの程度触れたかを調査しています。

最近よく耳にしますPM2.5は、PMの直径が2.5μm以下のものの総称です。この研究ではPM2.5に加えて、直径2.5μmから10μmの「PM10-2.5」が影響するかどうかも調べています。

 

◆PM2.5が自閉症スペクトラムと関連

調査の結果、PMのなかでもPM2.5が、自閉症スペクトラムに強く関連していました。

PM2.5への曝露と自閉症スペクトラムの関連性は[...]、妊娠期間である9ヶ月において有意であった(オッズ比1.63、95%信頼区間1.08-2.47)。

妊娠後期(妊娠7-9ヶ月)中の曝露と自閉症スペクトラムの関連性(PM2.5の増加について第1四分位から第3四分位の変化あたりのオッズ比1.42、95%信頼区間1.09-1.86)は、妊娠の前半6ヶ月中の曝露との関連性(1-3ヶ月:オッズ比1.06、4-6ヶ月:オッズ比1.00)と比較して、より強かった。

ということで、自閉症スペクトラムを発症した子どもの母親は、発症していない子どもの母親と比べて、妊娠中にPM2.5に触れていた人がオッズ比で1.6倍多かったという結果でした。

さらに、詳しく見てみると、妊娠7-9ヶ月にPM2.5に触れていた場合には、その他の期間に触れていた場合よりも、関連性が強かったということがわかりました。

 

大気汚染による健康問題は多く報告されています。大気は、日本だけではなく諸外国の汚染による影響も受けやすいのが事実です。大気汚染と健康問題が関連するしくみがさらに明らかになることで、子どもにとって良い環境を作れれば良いですね。

執筆者

MT

参考文献

Autism spectrum disorder and particulate matter air pollution before, during, and after pregnancy: a nested case-control analysis within the Nurses' Health Study II Cohort.

Environ Health Perspect. 2015 Mar

[PMID: 25522338 ]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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