セフェム系抗菌薬
細菌の細胞壁合成を阻害し細菌を殺すことで抗菌作用をあらわす薬

セフェム系抗菌薬の解説

セフェム系抗菌薬の効果と作用機序

  • 細菌の細胞壁合成を阻害し細菌を殺すことで抗菌作用をあらわす薬
    • 細胞壁という防御壁をもつ細菌はこれがないと生きることができない
    • 細菌の細胞壁合成に深く関わるペニシリン結合タンパク質(PBP)というものがある
    • 本剤は細菌のPBPに作用し細胞壁合成を阻害することで細菌を殺す作用をあらわす
  • 妊婦にも比較的安全に投与できるとされる
  • 開発された世代によって第一世代〜第四世代に分けられる
    • 各世代で、各種細菌へ対して、それぞれ得手・不得手がある
    • 世代が同じであっても薬剤によって各種細菌に対して得手・不得手の違いが生じる場合がある

セフェム系抗菌薬の薬理作用

細胞壁とよばれる防御壁をもつ細菌はこれがないと生きることができない。細菌の細胞壁の合成に深く関わるタンパク質にペニシリン結合タンパク質(PBP)がある。

本剤は細菌のPBPに作用し細菌の細胞壁合成を阻害することで、細菌を殺すことにより抗菌作用をあらわす。

本剤は開発された世代によって薬剤がもつ抗菌作用の範囲に違いがあり第一世代から第四世代までに分けられる(一般にはセフェム系に含まれる系統のうち、セファロスポリン系の薬剤が世代をつけて分類される)。一般には、第一世代に近いほど黄色ブドウ球菌(化膿性皮膚疾患などの原因となる菌)などのグラム陽性菌という種類に対して作用が強く、第四世代に近いほど緑膿菌(呼吸器感染症や尿路感染症などの原因となる菌)などのグラム陰性菌という種類に対して作用が強くなっている。ただし、同じ世代内でも薬剤ごとで細菌の種類により抗菌作用に差が出るものもある。

セフェム系抗菌薬の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 吐き気、下痢、食欲不振などの症状があらわれる場合がある
  • 偽膜性大腸炎
    • 頻度は非常に稀である
    • 頻繁に下痢がおきる、粘性のある便、腹痛、吐き気などがみられる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する

セフェム系抗菌薬の一般的な商品とその特徴

ケフラール

  • 第一世代のセフェム系抗菌薬
  • 小児用の細粒剤もあり、用途などによって選択が可能

パンスポリン

  • 第二世代のセフェム系抗菌薬
  • 錠剤は吸湿性が高いため、服用の直前にシートから取り出して使用する

セフゾン

  • 第三世代のセフェム系抗菌薬
  • 小児用の細粒剤もあり、用途などによって選択が可能

フロモックス

  • 第三世代のセフェム系抗菌薬
  • 小児用の細粒剤もあり、用途などによって選択が可能

メイアクト

  • 第三世代のセフェム系抗菌薬
  • 小児用の細粒剤もあり、用途などによって選択が可能