抗コリン薬
副交感神経を亢進させるアセチルコリンの作用を抑えることで、消化管の運動亢進に伴う痛みや痙攣、下痢などを抑える薬

抗コリン薬の解説

抗コリン薬の効果と作用機序

  • 副交感神経を亢進させるアセチルコリンの作用を抑えることで、消化管の運動亢進に伴う痛みや痙攣、下痢などを抑える薬
    • アセチルコリンは副交感神経を活発にして消化管の運動などを亢進させる
    • 副交感神経が活発になると胃や腸などの痙攣・痛み、潰瘍や胃炎・腸炎の悪化などがおこりやすくなる
    • 本剤はアセチルコリンの働きを抑える作用(抗コリン作用)をあらわす
  • 胆石や尿路結石に伴う痛みなどの改善に使用する薬剤もある
  • 本剤は薬剤の作用や化学構造などにより、ムスカリン拮抗薬、3級アミン類、4級アンモニウム類などに分けられる

抗コリン薬の薬理作用

胃や腸などの消化管の運動には副交感神経の伝達物質となるアセチルコリンが関わり、アセチルコリンの作用が亢進している状態では、胃・腸・食道などの痙攣、胃炎・腸炎・潰瘍などの発症や悪化、下痢や腹痛などがあらわれる場合がある。これらの症状はアセチルコリンにより副交感神経の活動が活発になり、内臓の筋肉が活発に動くことなどによって引き起こされる。

本剤は消化管におけるアセチルコリンの働きを抑える作用(抗コリン作用)をあらわすことで、胃腸などの痙攣や消化管運動亢進に伴う症状を改善する作用をあらわす。また胆石や腎結石が胆管や尿路にある状態でその周囲の動きが活発になると強い痛みを伴うことがあるが、本剤の中にはこれらの痛みを和らげる薬剤もある。

本剤は薬剤のもつ作用や化学構造などによって、ムスカリン拮抗薬、3級アミン類、4級アンモニウム類などに分類される。

抗コリン薬の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 口渇、便秘、吐き気などがあらわれる場合がある
  • 精神神経系症状
    • 頭痛、めまいなどがあらわれる場合がある
  • 抗コリン作用による眼圧上昇、排尿障害イレウスなど
    • 頻度は稀だが、散瞳などによる眼圧上昇、尿閉などの排尿障害、消化管運動抑制によるイレウスなどがあらわれる場合がある
    • 薬剤によっては、緑内障イレウス前立腺肥大などによる排尿障害のある患者などへ使用できない場合もある

抗コリン薬の一般的な商品とその特徴

ブスコパン

チアトン

  • 4級アンモニウム類に分類される抗コリン薬
  • 胆のう・胆道疾患、尿路結石症などによる疼痛緩和などにも使用する

ロートエキス

  • 3級アミン類に分類される抗コリン薬
  • ロートエキスは市販薬(ストッパ下痢止めEX など)の成分としても使用されている

ガストロゼピン

  • ムスカリン拮抗薬に分類される抗コリン薬
    • アセチルコリンの作用するムスカリン受容体に作用し抗コリン作用をあらわす
    • 胃酸分泌作用などをあらわすホルモンであるガストリンを抑える作用もある

ダクチル

  • 3級アミン類に分類される抗コリン薬
  • 潰瘍や胃炎などでの痙攣性疼痛の改善の他、切迫流・早産における症状改善などにも使用する