ジギタリス製剤
心筋の収縮力を強くし、速くなりすぎた脈を整え、心不全などの治療に使用される薬

ジギタリス製剤の解説

ジギタリス製剤の効果と作用機序

  • 心筋の収縮力を強くし、速くなりすぎた脈を整え、心不全などの治療に使用される薬
    • 心不全では心臓や血管の異常により、全身に十分な血液を送り出せていない
    • 心筋は細胞内のカルシウムイオンの濃度が高まると収縮力が増大する
    • 本剤は心筋細胞内のカルシウムイオン濃度を高め、心臓の拍動を強め、強心作用をあらわす
  • 治療有効域が狭い薬とされる
    • 薬が治療に役立つ薬物濃度の有効域が狭く、中毒域と有効域が接近している薬
    • 薬が適切に効いているかなどを血液中の薬の濃度を測定して観察していく必要がある
    • 体の状態の変化や併用薬などによっても副作用がおこる場合がある

ジギタリス製剤の薬理作用

心不全では心臓の収縮力が弱まったり血管の異常により、全身に十分な血液を送り出せていない状態にある。心筋は細胞内のカルシウムイオンの濃度が高くなると収縮し、心臓の拍動が強くなる。心筋の収縮力が増大すると弱っている心臓の働きが改善する。

本剤は心筋細胞内のカルシウムイオン濃度を高め、心筋の収縮力を強くすることで心不全などの症状を改善する。また本剤には心拍数調節作用などもあり、一部の心房細動などに対しても改善効果が期待できるとされる。

本剤は治療に対する有効域(適切な治療効果を得るための一般的な目標血中濃度の範囲)が狭く、中毒域と有効域が接近しているため薬剤が適切に効いているかなどを血液中の薬剤の濃度を測定することによって観察していくことが重要となる。また、体調の変化や併用薬などによっても副作用(消化器症状、視覚症状、精神神経系症状、不整脈などのジギタリス中毒といわれる症状)があらわれやすくなることが考えられるため注意が必要。

ジギタリス製剤の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢などの症状があらわれる場合がある
  • 視覚症状
    • 光がないのにちらちら見える、物が黄色に色づいて見える、物が二重に見えるなどの症状があらわれる場合がある
  • 精神神経系症状
    • めまい、頭痛、時間や方向感覚が失われる、錯乱などの症状があらわれる場合がある
  • ジギタリス中毒に関しての注意
    • 消化器症状、視覚症状、精神神経系症状や不整脈などは中毒の症状である可能性があり、症状がみられる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
  • 市販薬との相互作用(飲み合わせ)に対する注意
    • ジギタリスと類似の作用をあらわす生薬成分(センソなど)を含む市販薬が販売されているため注意が必要

ジギタリス製剤の一般的な商品とその特徴

ジゴシン

  • ジゴキシン製剤
  • 剤形が色々と選択できる
    • 錠剤、散剤、液剤(エリキシル)、注射剤があり用途などに合わせた選択が可能

ラニラピッド

  • メチルジゴキシン製剤
  • 内服薬で比較した場合、一般的にジゴキシンに比べ薬の吸収が速やかで効果発現が早いとされる