じんこうこきゅうきかんれんはいえん
人工呼吸器関連肺炎
気管挿管されて人工呼吸器の装着された人に起こった肺炎の中で、人工呼吸器装着後48時間以上経ってから新たに起こったものを指す。他の肺炎に比べて重症で難治性の肺炎になりやすい
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最終更新: 2019.06.11
人工呼吸器関連肺炎の基礎知識
POINT 人工呼吸器関連肺炎とは
人工呼吸器を装着して48時間以上経ってから起こった肺炎のことです。通常起こる肺炎と比較すると、原因となる細菌が異なりますし、重症になりやすいことも特徴的です。主な症状は発熱・痰の増量・酸欠になりますが、人工呼吸器を使用する時には鎮静剤で眠っていることも多く、症状は判りにくいことも多いです。 身体所見・画像検査・血液検査・細菌検査から総合的に診断します。感染の原因となっている細菌に適した抗菌薬を用いて治療します。その他にも、去痰薬などの肺のコンディションを良くする薬を用いることもあります。
人工呼吸器関連肺炎について
- 気管挿管されて人工呼吸器の装着された人に起こった肺炎の中で、人工呼吸器装着後48時間以上経ってから新たに起こったものを指す
- 市中肺炎に比べて重症の肺炎になりやすい
- 原因菌は通常の市中肺炎と比べて異なり、以下のようなものが多い
黄色ブドウ球菌 大腸菌 インフルエンザ桿菌 - クレブシエラ桿菌
- プロテウス
緑膿菌
- 以下のことがあると、重症化しやすいことが分かっている
- 神経機能障害
- 心血管障害
- 腎不全
- 肝不全
代謝 障害
- 英語での「Ventilator-Associated Pneumonia」の頭文字をとってVAP(バップ)と呼ばれることがある
- 日本集中医療学会からVAPの予防方法が提案されている
- 人工呼吸器を扱う際に、手指衛生を実施する
- 人工呼吸回路を頻回に交換しない
- 過鎮静にならないように適切な鎮静・鎮痛を図る
- 人工呼吸器からの離脱ができるかこまめに評価を行う
- 人工呼吸中の患者を
仰臥位 (仰向け)で管理する時間を減らす
人工呼吸器関連肺炎の症状
- 以下の
症状 が出やすい- 発熱
- 酸素状態の悪化
- 痰の増量
- 人工呼吸器を使用するために鎮静剤を用いていることが多いので、呼吸困難感が見られないことが多い
- 鎮静が浅いと苦しがることはある
人工呼吸器関連肺炎の検査・診断
- 身体診察
聴診 で肺に特徴的な肺音(水泡音など)がみられる
- 血液検査
- 全身状態や全身の
炎症 の程度を調べる
- 全身状態や全身の
- 画像検査
胸部レントゲン 写真(X線検査 )胸部CT検査
細菌 培養検査 :感染の原因を調べるもっとも重要な検査- 痰
培養 - 血液培養
- 痰
人工呼吸器関連肺炎の治療法
抗菌薬 (抗生物質 )を用いた治療- 痰の塗抹
所見 や各種培養検査 の結果を踏まえて、最も適した抗菌薬を用いる
- 痰の塗抹
- 体位変換や吸引を行って痰が貯留しないように努める
- 治療を開始してから48-72時間後に、全身状態や酸素化の状態を再評価する
- 効果に乏しければその原因を探す必要がある
- 場合によっては抗菌薬を変更することになる