さぶくりにかくくっしんぐしょうこうぐん
subclinical Cushing症候群(サブクリニカルクッシング症候群)
下垂体前葉のホルモンであるACTHが正常〜低値にもかかわらず、コルチゾールは正常範囲。クッシング病に特徴的な身体所見は認めない
3人の医師がチェック 7回の改訂 最終更新: 2019.01.09

subclinical Cushing症候群(サブクリニカルクッシング症候群)の基礎知識

POINT subclinical Cushing症候群(サブクリニカルクッシング症候群)とは

クッシング症候群の一歩手前の状態のことをサブクリニカルクッシング症候群といいます。クッシング症候群はコルチゾールというホルモンが過剰に出ることによって、身体に特徴的な変化(中心性肥満、満月様顔貌など)が現れたり、高血圧や糖尿病、脂質異常症などが現れます。サブクリニカルクッシング症候群ではコルチゾールが正常より多く分泌されているものの、クッシング症候群で特徴的な身体の変化は見られず一方で、クッシング症候群と同じく高血圧、糖尿病、脂質異常症の原因になると考えられています。サブクリニカルクッシング症候群が疑われる人には血液検査や画像検査を行い詳しく調べられます。サブクリニカルクッシング症候群は内分泌内科で検査や治療が行われます。

subclinical Cushing症候群(サブクリニカルクッシング症候群)について

  • 副腎が自発的(自律的)にコルチゾールを分泌し、下垂体前葉のホルモンであるACTHは正常から低値であることが多い
  • クッシング症候群に特徴的な身体所見は認めない
  • 糖尿病高血圧症脂質異常症、全身性肥満合併しやすい
  • 片側の副腎腫瘍(しこり)や両側性の副腎腫大(腫れ)が原因のことが多い

subclinical Cushing症候群(サブクリニカルクッシング症候群)の症状

  • クッシング症候群に特徴的な身体所見は認めない
    • 満月様顔貌(顔が丸くなる)
    • 中心性肥満(体幹が太る)
    • 野牛肩(バッファローハンプ)
    • 皮膚赤紫色皮膚線条(皮膚に赤紫の線が入る)
    • 近位筋(足の付根や肩など)萎縮による筋力低下
  • 合併症として糖尿病高血圧症脂質異常症が起こることがある
    • 糖尿病に特徴的な症状
      • 口渇、多飲
      • 頻尿
      • 視野異常
      • 視力低下
      • 手足のしびれ   など

subclinical Cushing症候群(サブクリニカルクッシング症候群)の検査・診断

  • デキサメサゾン抑制試験(1mg)という検査を行う
  • 次にデキサメサゾン抑制試験(8mg)という検査を行う
    • 血中コルチゾール値が1μg/dl以上の時に診断する
  • 腹部CT:副腎腫瘍の有無や大きさを確認する
  • 腎シンチグラフィ:左右どちらの副腎からコルチゾールが過剰に分泌されているかを調べる
  • 夜中のコルチゾールの値を測定したり、その他ホルモン値の測定をすることもある

subclinical Cushing症候群(サブクリニカルクッシング症候群)の治療法

  • 副腎腫瘍が大きい場合や、合併症が複数ある場合は手術が考慮される
  • 糖尿病高血圧症などの合併症が出現した場合は、それらの治療を行う
  • 頻度は少ないが、クッシング症候群に移行することもある

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