えんけいだつもうしょう
円形脱毛症
コインのように円く脱毛した状態。通常は1~2ヶ所で数か月で自然治癒することが多いが、時に多発したり脱毛部分が全身におよぶことがある
2人の医師がチェック 15回の改訂 最終更新: 2024.07.17

円形脱毛症とはどんな病気なのか

円形脱毛症になると、頭髪の一部が抜け落ちて、多くはコインのように丸い脱毛斑ができます。このページでは円形脱毛症の概要として、症状や検査、治療などを網羅的に説明します。

1. 円形脱毛症(英語名:alopecia areata)とはどんな病気なのか

毛が抜ける(脱毛)主な病気には男性型脱毛症AGA:androgenic alopecia)や、抜毛症(自分で髪の毛を抜いてしまう病気)などがありますが、円形脱毛症も主な原因の1つです。円形脱毛症はほとんどの年代に発症する可能性があり、脱毛の仕方にも特徴があります。

円形脱毛症はどれくらいの人がなるのか

約2%の人が生涯のうちに円形脱毛症を経験すると考えられています。どの年齢でも円形脱毛症を発症する可能性がありますが、30歳前に発症する人が多いです。また、ほとんどの人で何度か再発を繰り返すことも知られています。

円形脱毛症は男性と女性のどちらに多いのか

男性型脱毛症は男性に多く見られますが、円形脱毛症になる人の割合は男女でほとんど差がないと考えられています。男性型脱毛症と円形脱毛症では治療法が異なるので、男性で脱毛が見られた場合にはどちらの病気なのかを区別される必要があります。頭皮の状態や毛の抜け落ち方が病気を区別する参考になります。

2. 円形脱毛症の症状について

円形脱毛症の頭髪の抜け落ち方には特徴があり、コインのように円く脱毛するのが典型的です。脱毛した部分を脱毛斑と言います。脱毛斑が1つの人もいれば、複数の人もおり、頭髪だけではなく全身の毛が抜けることもあります。 脱毛の程度やパターンによって円形脱毛症は次のようにいくつかの種類に分けることができます。

3. 円形脱毛症の種類について

円形脱毛症は脱毛の程度によって、下の表のように分類されます。

【円形脱毛症の分類】

分類 内容
通常型 頭皮の一部に脱毛が起こるタイプ
  単発型 脱毛部分(脱毛斑)が1つ
多発型 脱毛部分(脱毛斑)が複数
全頭型 頭部全体に脱毛が起こるタイプ
汎発型 脱毛が頭にとどまらず、全身に拡大したタイプ
蛇行型 髪の毛の生え際に帯状の脱毛が起こるタイプ

上の表のように円形脱毛症にはいくつかパターンがありますが、その中でも多いのが単発型です。単発型は自然に治りやすいのですが、その他は単発型に比べると自然に治りがたく、治療が必要になることが少なくありません。それぞれのパターンについては、文字だけではわかりにくいところがあると思いますので、日本皮膚科学会が作成したウェブサイトに掲載されている写真も参考にしてください。

4. 円形脱毛症の原因について

円形脱毛症はリンパ球という免疫を司る細胞が毛包(毛を作りだす器官)を誤って攻撃してしまうことで起こると考えられています。しかしながら、リンパ球の毛包への攻撃が起こるメカニズムについてはまだわかってはいません。患者さんの中には円形脱毛症の原因としてストレスを心配する人が多くいますが、ストレスは円形脱毛症の原因とは考えられていません。

5. 円形脱毛症の検査について

頭皮の脱毛が起こる原因は円形脱毛症だけではありません。原因を突き止めて適切な治療につなげるために診察や検査が行われます。円形脱毛症が疑われる人に行われる診察や検査は次のものです。

【円形脱毛症が疑われる人に行われる診察や検査】

  • 問診
  • 身体診察
  • 血液検査

問診と身体診察でほとんどの人に診断が行われますが、他の原因も疑わしい人には血液検査が行われます。診察や検査のより詳しい説明は「こちらのページ」を参考にしてください。

6. 円形脱毛症の治療について

円形脱毛症になっても治療せずに治る人は少なくありません。一方で、脱毛斑が多かったりいつまでも治らない人には治療が検討されます。円形脱毛症の治療には次のものがあります。

【円形脱毛症の治療】

  • 薬物治療
    • 外用薬(塗り薬)
    • 内服薬(飲み薬)
    • 注射薬
  • 冷却療法
  • 紫外線治療

円形脱毛症は、自分の身体を守るリンパ球が毛包(毛を作り出す器官)を誤って攻撃してしまうことによって起こると考えられています。このリンパ球の攻撃を抑えると毛包から再び毛が生えてくるようになります。リンパ球の働きを抑える治療として、ステロイド薬が使われます。

ステロイド薬の使用法には外用薬(飲み薬)、内服薬(飲み薬)、注射薬の3つがあり、症状の現れ方などをもとにして、適した方法が選ばれます。例えば、脱毛の範囲が小さく1つしかない人には塗り薬で治療を行うことができます。一方で、頭皮以外の部分にも脱毛が見られる人には、全身に効果が現れる飲み薬で治療が用いられます。また、ステロイド薬の治療で効果がない人に検討される治療としては冷却療法や紫外線治療があります。 それぞれの治療法の詳しい内容は「こちらのページ」を参考にしてください。

7. 円形脱毛症の人が知っておくとよいこと

ここまで、円形脱毛症の症状や検査、治療などについて説明してきましたが、それ以外にも円形脱毛症の人が知っておくと良いことがいくつかあります。「円形脱毛症の人に見つかりやすい病気」と「円形脱毛症の経過」について次に説明します。なお、ちょっとした疑問については「こちらのページ」で説明しているので参考にしてください。

円形脱毛症の人は注意したほうがよい病気がある

円形脱毛症の人には見つかりやすい病気があります。具体的には、橋本病尋常性白斑全身性エリテマトーデスなどです。脱毛以外にも症状がある人は、お医者さんに伝えるようにしてください。それぞれの病気の症状については、「橋本病の基礎知識ページ」「尋常性白斑の基礎知識ページ」「全身性エリテマトーデスの詳細情報ページ」を参考にしてください。

円形脱毛症の経過について

円形脱毛症の経過はその程度によって変わります。多くを占める通常型のうち単発型(脱毛斑が一箇所)であれば、数ヶ月で自然治癒が望めます。一方で、脱毛斑が複数ある人や、脱毛斑が大きな人の治療には年単位の時間が必要になることもあります。

参考文献

日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドライン作成委員会, 日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版, 日皮会誌:127(13),2741-2762.
・Andrew G Messenger, Up To Date, Alopecia areata: Management