えしせいなんぶそしきかんせんしょう
壊死性軟部組織感染症
皮膚や脂肪、筋膜の組織で感染が起こり、全身へと感染が波及しうる皮膚の重症感染症。死亡率は数十パーセントに及ぶので可及的速やかな治療が必要
9人の医師がチェック 239回の改訂 最終更新: 2022.03.03

壊死性軟部組織感染症が疑われたらどんな検査をすることになる?どうやって診断されるのか?

壊死性軟部組織感染症は緊急性の高い病気です。時々刻々と状況が悪化し命にかかわることもあります。壊死性軟部組織感染症は素早い診断が重要なため、疑われた場合には多くの検査が行われます。

1. 問診

問診では身体状況や生活背景を聞かれます。全ての診療で問診は基本かつとても重要です。身体の診察を行う前に問診で状況を尋ねられることが多いです。壊死性軟部組織感染症の診断においても問診は重要です。

具体的には次のようなことを聞かれます。

  • どんな症状を自覚するか(痛み、しびれなど)
  • 症状は一定か、よくなったり悪くなったりするか
  • 初めての症状か
  • 症状が変化するスピードは早いか(分単位、時間単位、日単位など)
  • 症状が出るまでにどういった生活をしていたか
  • 症状が出るまでにどういった薬を飲んでいたか
  • 最近怪我をしていないか
  • 飲酒をどの程度するか
  • 何か持病はあるか
  • 妊娠しているか

これらは壊死性軟部組織感染症の存在の有無やその状況を探る上で重要な判断材料です。また、問診は治療方針を決めるためにも役立ちます。持病のある人や妊娠している人は、使用してはならない薬があったり治療法を変更する必要があったりしますので、必ず医療者に伝えるようにして下さい。

持病の有無

壊死性軟部組織感染症に関連する病気はいくつか存在します。そのため以前からかかっている病気(持病)がある場合には必ず伝えてください。気をつけるべき病気の中で代表的なものを次に示します。

これらは皮膚軟部組織感染症(壊死性軟部組織感染症や蜂窩織炎など)を起こしやすい病気ですので参考にして下さい。もちろんここに挙げた病気以外も壊死性軟部組織感染症の原因や治療法の選択に関連しますので、全ての持病を医療者に申告するようにして下さい。

常用薬の有無

「薬の飲み合わせが悪い」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。これは複数の薬が相互に影響を与えあっている状態を指します。専門的には薬剤相互作用と言います。

常用薬の影響によって壊死性軟部組織感染症の治療薬(抗菌薬など)を調整しなければいけないことがあります。そのため常用薬がある場合には問診で伝えるようにして下さい。

自分の飲んでいる薬の名前をよく知らないことや診察時に失念してしまうことはよくあります。常用薬がある場合にはお薬手帳を常に携帯するようにすると伝え漏れが無くなるので便利です。

自覚症状の有無

どんな症状を感じているのかはとても大事な情報です。壊死性軟部組織感染症では皮膚の痛みや色の変化が起こることが有名ですが、他にもその進行度などによってさまざまな症状が出現します。以下が壊死性軟部組織感染症で出やすい症状です。

  • 皮膚の症状
    • 皮膚の色調変化(黒や赤など)
    • 皮膚の腫れ
    • 皮膚の水ぶくれ(水疱
    • 皮膚の痛み
    • 皮膚のかゆみ
  • 全身の症状
    • 発熱
    • だるさ
    • 関節痛

これらは壊死性軟部組織感染症で起こりうる代表的な症状です。もし該当するものがあった場合には、問診時に必ず伝えてください。また、症状が急速に出現して悪化する場合は要注意です。

症状の出現した時期と進行スピード

どんな症状がいつ出現して、その症状は悪化しているかなどについて把握することはとても大切です。例えば「さっき痛みに気づいたのだけれども、どんどん痛みが増している」とか「痛みはないんだけど、昨日から皮膚の色がどんどん黒ずんできている」といった具合に、自分の症状を伝えるようにしてください。

急速(目安として数十分単位)に状態が悪くなる場合は壊死性軟部組織感染症を考えなければなりません。皮膚軟部組織感染症を放置すると、治らないどころか命にかかわるため早急に治療しなければなりません。悪化する速度が早い自覚がある場合には、医療者に伝え忘れないようにしてください。

2. 身体診察

身体診察は病気の状況やその影響を受けている身体の状況を客観的に評価する行為です。皮膚だけに限らず、全身の状態を確かめることができます。

次のような行為が身体診察に含まれます。

バイタルサインのチェック

医療現場では「バイタルサイン」や単純に「バイタル」という言葉がしばしば聞かれます。日本語に直訳すると「生命徴候」となり、主に次のものを確認します。

  • 意識の程度
  • 脈拍数
  • 血圧
  • 呼吸数
  • 酸素飽和度(血液中に含むことのできる酸素の最大量に対する実際に含まれている酸素の割合)
  • 体温

例えば、頻脈(脈拍数が増えている状態)を例に考えてみましょう。脈拍は全身に炎症が起こっても早くなりますし、不整脈でも早くなります。また、酸素の値が正常であっても、通常の呼吸状態ではなく一生懸命苦しそうに呼吸しているのであれば、呼吸に異常があると判断します。このようにバイタルサインは一つの数字だけを見て判断するのではなく、さまざまな要素から総合的に判断する必要があります。

視診

視診とは身体の様子を見た目で判断するものです。明らかな変化のあるものは見ただけで判断することができます。

壊死性軟部組織感染症は皮膚の色調の変化や浮腫が起こる病気です。このような変化はきちんと視診することで多くのことがわかります。特に壊死性軟部組織感染症では視診が手がかりとなる場面が少なくありません。一方で、当然のことですが変化があっても見なければ分かりません。ですので、自分の身体がおかしいと思っている部分に関しては、問診の段階で伝えておき、しっかりと観察してもらうことが大事です。

触診

触診は身体を触って異常がないかどうかを確かめることです。触診では色々なことが確かめられます。以下が触診で確認できる例になります。

  • 皮膚の温度を確かめる
  • 触感を確認する(硬い/柔らかい、乾いている/湿っている、奥になにかがあるなど)
  • 押すことで痛みが生じる
  • 触ることでしびれが目立つようになる
  • 触れても触れている感覚がないことが分かる

触診は明らかな異常はもちろん、日頃の生活の中では感じない症状についても判断することができます。

3. 血液検査

血液検査は多くの病気の診断や状態の評価のために行われますが、壊死性軟部組織感染症を診断する際にも血液検査を行うことがあります。よく行われる検査は次のものになります。

  • 全身の炎症の程度をみる検査
    • 白血球数(WBC)
    • CRP
  • 全身のバランスを見る検査
    • 血液ガス分析
  • 筋肉への影響の有無を確認する検査
    • CK(クレアチンキナーゼ)

これらの項目についてもう少し詳しく説明します。

全身の炎症の程度をみる検査

壊死性軟部組織感染症では体内で起こった感染によって炎症が起こります。すると炎症性サイトカインという物質が体内に広がります。その影響を受けて体内で様々な反応が起こります。血液検査では白血球数(WBC)とCRPという項目がよく全身炎症の判定に用いられます。

  • 白血球数

白血球数は血液中にどの程度の白血球が存在するかを見る検査です。1マイクロリットル(一辺が1mmの立方体)の血液あたり3,500個から9,000個の白血球が存在する状況が正常と考えられています。

白血球は体内で感染症が起こると増えることが多いため、血液検査で白血球数を見ることで感染の有無を推測することができます。しかし、感染以外の炎症を起こす病気でも同様に白血球は増えるため、参考程度と考えることが必要です。

  • CRP

CRPはC-Reactive Protein(C-リアクティブプロテイン)の略で、体内で炎症が起こると血液中にこのタンパク質が増加します。この項目は感染症が疑われたときに大変よく測定されます。CRPは全身の炎症に対する反応を反映しているので、感染症以外でも、がんや膠原病などの全身に炎症が起こる病気でもCRP値は上昇します。

壊死性軟部組織感染症ではCRP値が上がりやすいです。詳しくは後述しますが、壊死性軟部組織感染症の重症度の判定を行う際にCRPはチェックされます。しかし、CRPは感染以外でも上昇する検査項目ですので、CRP値が高いから壊死性軟部組織感染症があると考えるのは早計です。他の検査の結果や身体の状態から総合的に診断する必要があります。

全身のバランスを見る項目

血液ガス分析は血液中に含まれる成分やバランスを調べる検査です。調べることのできる主な項目は次のものになります。

  • 酸素
  • 二酸化炭素
  • pH(水素イオン濃度)
  • 重炭酸イオン(HCO3-)
  • 塩基超過分(BE)
  • 乳酸
  • ナトリウム
  • カリウム

これらの値を調べることで身体のバランスについて探ることができます。壊死性軟部組織感染症は非常に炎症が強くなる病気であるため、血液ガス分析を行うと多くの場合で異常値が見られます。血液ガス分析を行うと、重症のSIRS(systemic inflammatory response syndrome、全身性炎症反応症候群)という状態に至っているのかどうかを判定することができます。

筋肉への影響を見る検査

壊死性軟部組織感染症は皮膚(真皮)や皮下組織や筋肉で起こる重症感染です。筋肉で感染が起こると、感染が広範囲の筋肉や筋膜に広がっていき破壊されてしまいます。感染が広範囲に至ってしまうと沈静化することが難しいため、命に関わる非常に危ない状態になります。

筋肉が破壊されるとクレアチンキナーゼ(CK)という物質が筋肉から放出されるので、血液中のCK値は高くなります。そのため、壊死性軟部組織感染症による症状が強い場合や症状が進行している場合には、血液検査のCK値が参考になります。つまり、CK値が高ければ、より重症の壊死性軟部組織感染症に進行していることが疑われるということです。

実は血液検査で壊死性軟部組織感染症を見分ける方法が他にもあります。LRINECスコアと呼ばれるものです。これについては次の段落で説明します。

怖い壊死性軟部組織感染症を見分けられると考えられているLRINECスコア

壊死性軟部組織感染症は症状が同じ皮膚軟部組織の感染である蜂窩織炎と似ている一方で、死亡率が高いため早急に治療を行わなければなりません。LRINEC (Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis)スコアは血液検査だけでかなりの正確度で壊死性軟部組織感染症かどうかを見分けることができるとされています。このスコアは次のように計算されます。

【LRINECスコア】

項目 検査値 点数
①CRP 15mg/dL以上 4点
15mg/dL未満 0点
②WBC 25,000/μL以上 2点
15,000-25,000/μL 1点
15,000/μL未満 0点
③Hb(ヘモグロビン 11.0g/dL未満 2点
11.0-13.5g/dL 1点
13.5g/dL以上 0点
④Na(ナトリウム) 135mEq/L未満 2点
135mEq/L以上 0点
⑤Cre(クレアチニン) 1.6mg/dL以上 2点
1.6mg/dL未満 0点
⑥Glu(血糖 180mg/dL以上 1点
180mg/dL未満 0点

表に有る点数の合計によって壊死性軟部組織感染症の危険度は次のように分かれます。

  • 8点以上:危険度が高い
  • 6-7点:中等度の危険性
  • 5点以下:危険度が低い

このスコアは本当に有用なのかについては現段階では結論が出ていません。しかし一方では、血液検査だけである程度判断がつくため簡便さが優れていますし、何よりも、6つのどの項目も多くの院内で調べることができるものであるということが優れています。

このスコアの使いみちは、壊死性軟部組織感染症が疑わしいと思われたときに参考材料として診断の補助に使うというのが妥当かもしれません。また、少なくともこのスコアで高値である場合には重症皮膚感染症を頭に入れておく必要があります。また、低値であっても症状が重篤であったり症状の進行が早かったりした場合も要注意です。

参考文献
・The LRINEC (Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis) score: A tool for distinguishing necrotizing fasciitis from other soft tissue infections. Crit Care Med 2004; 32:1535-1541

4. 細菌学的検査

壊死性軟部組織感染症は細菌による感染症で、蜂窩織炎と同じように溶血性連鎖球菌黄色ブドウ球菌が起炎菌になりやすいですが、他の細菌も感染の原因となります。また、同時に複数の細菌が感染を起こすことも多いため注意が必要です。

【壊死性軟部組織感染症の原因となりやすい細菌】

  • 一般的に壊死性軟部組織感染症の原因となりやすい細菌
    • 溶血性連鎖球菌(特にStreptococcus pyogenes)
    • 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
    • 大腸菌(Escherichia coli)
    • クレブシエラ桿菌(Klebsiella pneumoniae、Klebsiella oxytoca)
    • ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)
    • 緑膿菌Pseudomonas aeruginosa
    • バクテロイデス属(Bacteroides spp.)
    • フソバクテリウム属(Fusobacterium spp.)
  • 水回り(淡水)で壊死性軟部組織感染症が起こる原因となりやすい細菌
    • エロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)
  • 水回り(海水)で壊死性軟部組織感染症が起こる原因となりやすい細菌
    • ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)

これらは専門家レベルの情報なので、一般の人が細菌の名前を知っておくことはほとんど意味がありません。しかし、水回りで怪我をした経緯があると、壊死性軟部組織感染症の起炎菌が変わってくるということは知っておいて損はないです。そして、もし皮膚が腫れたり痛くなったりして医療機関を受診した場合には、こうしたポイントを医療者に忘れずに伝えてください。

また、壊死性軟部組織感染症は複数の起炎菌が感染に関与することがあります。そのため起炎菌がわからないうちは多くの細菌に対して有効である抗菌薬を用いて、後で述べる「細菌培養検査」で起炎菌が判明したら抗菌薬をより有効なものに変更します。

細菌感染の診断において最も大切で有力なゴールドスタンダードは、原因となっている細菌(起炎菌)を見つけることです。しかし、感染が起こったときにすぐ原因菌が判明することはほとんどありません。そのためには感染した部位から採取した検体を顕微鏡で見たり培養してみたりして、細菌の存在を探します。つまり、「細菌塗抹検査」と「細菌培養検査」を行うのです。次の段落で詳しく説明します。

塗抹検査

塗抹検査では細菌の形や大きさが分かります。細菌に色を染めるグラム染色などの方法を用いることで、細菌の性質をより詳しく調べることができます。一方で、細菌の名前まで詳細に調べることは難しいため、どの細菌がいるかを推測はできても確定することは難しいです。そのため初期治療では、塗抹検査から起炎菌のあたりをつけて、効果が高いであろう治療薬が選択されます。

診断を確定させるためには、検体に存在する細菌を増やして詳細に調べる検査(培養検査)が必要になります。

培養検査

培養検査では、採取した検体(壊死性軟部組織感染症の場合は感染した部位の組織や浸出液など)に含まれる微生物が育ちやすいような環境を作り細菌を増やします。培養検査で細菌が生えることがあれば壊死性軟部組織感染症の起炎菌を特定することができます。また、壊死性軟部組織感染症は菌血症(血液中に細菌が侵入する病気)になることが多く、血液の培養検査も同時に行うことが望ましいです。

培養検査では細菌を増やして、細菌の名前と薬剤感受性(抗菌薬の種類別有効性)を調べることができます。培養検査の結果を踏まえて初期治療からもっと有効な抗菌薬へ変更(適正化)することができます。

5. 抗原検査(A群β溶連菌)

A群β溶連菌は非常に激烈な感染を起こすことがあります。感染が急速に進行して死亡者が出ることがあるほどで、通称「人食いバクテリア」とも呼ばれます。A群β溶連菌は毒素を作るため、この影響を受ける前にできるだけ早く治療を行うことが大切です。

細菌の種類によって有効な抗菌薬は異なります。A群β溶連菌はペニシリン系抗菌薬が非常によく効くため、アレルギーがない限りペニシリン系抗菌薬を用いて治療します。一方で、他の細菌の関連が疑われるのであればセフェム系抗菌薬やカルバペネム系抗菌薬などを用いて治療することが多く、適切な治療を行うために起炎菌がA群β溶連菌なのかどうかを素早く知ることが必要です。

A群β溶連菌には迅速抗原検査があります。多くの場合で咽頭(喉の奥)の粘液を採取して咽頭炎の起炎菌がA群β溶連菌でないかを確認しますが、壊死性軟部組織感染症においてもA群β溶連菌の関与の有無を確認できることがあります。

具体的には、感染が疑われる皮下組織の分泌液(dish water)を用いて検査したり、皮下組織に少量の生理食塩水を注入してから同じ部位から回収した液体を用いて抗原検査を行います。この検査は状況(感染の進行度や検査のやり方など)によって感度(A群β溶連菌が存在するときに検査が陽性となる確率)があまり高くないことが問題になりますが、陽性とわかったら非常に高い確率でA群β溶連菌が起炎菌と分かります。

この検査には弱点(感度が低いこと)があるため、細菌学的検査(塗抹検査、培養検査)とあわせて行うのが望ましいです。

6. 画像検査

画像検査はX線検査CT検査、MRI検査などのことを指します。壊死性軟部組織感染症を診断する上で画像検査が行われることがあります。特に炎症の広がった範囲や空気の存在の確認を行う目的で画像検査が行われます。

CT検査

CT検査は放射線を使った検査です。肺や筋肉などの臓器を輪切りにした写真を見ることができます。

壊死性軟部組織感染症では皮膚の下の組織に炎症があるとCT検査で変化が見られることがあります。特に筋肉に炎症が波及してないかを確認する場合にCT検査が有用になります。筋肉や筋膜に感染が起こると命に関わるので、CT検査を行った場合には皮下組織だけでなく筋肉にも変化がないかをくまなく見ることになります。通常は見られない異常(CT値の上昇、空気の出現など)を確認できれば、壊死性軟部組織感染症が強く疑われます。

また、壊死性軟部組織感染症と似たような症状が出現する静脈血栓症や静脈炎という病気があります。これらは血管の病気ですので、皮膚の診察をしても簡単に分かりません。造影剤を用いたCT検査を行うことで状況を詳細に調べることができます。

MRI検査

MRI検査はCT検査と同じく臓器を輪切りにした写真を見ることができます。一方で、MRI検査は放射線ではなく磁気の力を使いますので被曝しません。また、MRI検査はCT検査よりも詳しく調べることができるので有効な検査ですが、一回撮影するのに時間(たいてい数十分程度)がかかることが弱点です。

壊死性軟部組織感染症が疑われているけれども診断がつきにくい場合にMRI検査が行われます。但し、MRI検査は詳しく調べることができる利点がある一方で、時間がかかってしまうことに注意が必要です。壊死性軟部組織感染症はできるだけ早く診断して治療を行うことが大切ですので、MRI検査を行っている間に病状が進行してしまっては本末転倒になります。壊死性軟部組織感染症が疑わしい症状があればMRI検査を行わずに治療を開始して、どうしても診断がつかない場合にのみMRI検査を行うというのが現実的な判断になります。

7. どうやって壊死性軟部組織感染症と診断するのか?

壊死性軟部組織感染症と診断するのは簡単ではありません。念入りに色々と調べたら診断がつく場合でも、素早く診断をつけることが必要であることも診断を難しくさせます。そのため、壊死性軟部組織感染症が疑わしい状況をおくことがとても重要です。

次の特徴がある時は壊死性軟部組織感染症を考えなければなりません。

  • 痛みが非常に強い
  • 抗菌薬を用いて治療してもなかなか改善しない
  • 皮膚の下が硬い
  • 発熱や血圧低下とともに意識が悪くなる
  • 皮膚が変色する範囲の外側を押すと痛い
  • 皮膚を押すと皮下に空気を感じる(握雪感、キシキシという感じの違和感)
  • 皮膚や皮下の出血
  • 皮膚の壊死

これらの中で思い当たるふしがあれば、医療機関にかかって確認するようにして下さい。また、医療関係者も判断が悩ましいときには、専門家(感染症内科医、皮膚科医、整形外科医など)に相談するほうが良いです。

参考文献
・Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases 8th edition, Saunders, 2014
・青木 眞, レジデントのための感染症診療マニュアル第3版, 医学書院, 2015
・Stevens DL, et al.  Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Skin and Soft Tissue Infections: 2014 Update by the Infectious Diseases Society of America 
・伊東直哉, 感染症内科ただいま診断中!, 中外医学社, 2017