抗生物質無効の「人食いバクテリア」から33歳男性を救った治療とは?

A群溶連菌などの感染によって起こる壊死性軟部組織感染症は、30%以上が死に至るとも言われ、「人食いバクテリア」という俗称で恐れられています。通常有効とされる抗菌薬に反応がなく、ほかの治療で退院できた患者の例を紹介します。
◆小さい傷から悪化
この33歳男性は、スキー旅行中に左足に小さい傷ができ、悪化したため病院で
両側のわきの下と足の付け根に強い腫れと痛みがありました。
◆ステロイド+IVIGで退院へ
大学病院の入院後5日目に、
IVIG開始から状態が改善し、デブリードマンが行われた場所を皮膚で覆う手術が行われ、入院後48日目に退院しました。
IVIGは、人間の血液から取り出した
この報告の著者らは、ステロイド薬とIVIGがどのようなしくみで効果を示したのかについて考察し、「過去の研究の報告によれば、IVIGは細菌のオプソニン化を促し、スーパー抗体や毒素を中和することによって血清による殺菌作用を強化する」という説、「壊死性軟部組織感染症の治療においてIVIGを使うことで、
壊死性軟部組織感染症はまれな病気で、人から人に伝染することは通常はないと言われています。病原体として代表的なA群溶連菌はどこにでもいる細菌で、普通は重い病気を起こすことはありません。激しい病気が起こる原因や予防法は知られていません。
この1例の報告から壊死性軟部組織感染症に対するIVIGの効果が確かめられたとは言えませんが、
執筆者
Intravenous immunoglobulin in necrotizing fasciitis - A case report and review of recent literature.
Ann Med Surg (Lond). 2015 Aug 1
[PMID: 26288730]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。