ていけつあつしょう
低血圧症
血圧が比較的低いことで臓器への血流が保てなくなる状態のこと。低血圧による影響は原因によって異なるため、基準となる数値があるわけではない
4人の医師がチェック 81回の改訂 最終更新: 2017.12.06

低血圧症の基礎知識

POINT 低血圧症とは

低血圧症は血圧が下がることで臓器への血流が必要分を保てなくなる病気です。出血・心筋梗塞・敗血症などで低血圧症は起こりますが、血圧がいくつ以下になれば低血圧症になるといった明確な基準はありません。低血圧症の主な症状はふらつき・めまい・失神などになります。 症状や身体診察に加えて、心電図検査・心臓エコー検査を用いて診断します。低血圧症の原因となっている病気の治療が最優先となりますが、血圧を適切な値に戻すために薬物治療(昇圧剤・補液など)を行います。低血圧症が心配な人や治療したい人は、循環器内科を受診して下さい。

低血圧症について

  • 血圧が比較的低いことで臓器への血流が保てなくなる状態のこと
    • 日本高血圧学会では120/80mmHg未満を至適血圧としているが、下限となる基準は設定されていない 
    • 一般的には、収縮期血圧の数値をもって低血圧とみなす場合が多い
    • 収縮期血圧が70mmHg台でも無症状で心配ないこともあれば、逆に普段は血圧が高い人の収縮期血圧が120mmHgまで下がると、それだけで身体に悪影響が及ぶ場合もある
    • 特に若い女性などでは、例えば収縮期血圧が80-90mmHg台などと普段から低めでありながらも、実生活上は問題のない場合が多い
  • 背景に他の病気が隠れている場合(二次性低血圧)があり、その原因によっては緊急での治療が必要となる
  • 低血圧のうち頻度が高い原因
    • 起立性低血圧症
      • 座ったり寝たりした状態から立ち上がるか、立ちっぱなしの状態が続いた場合に起きやすい
    • 低容量性低血圧
      • 脱水や出血(ケガ、消化管出血、月経など)によって血液量が少なくなり、血圧が低下する
    • 薬の影響
      • 降圧薬や他の薬(睡眠薬など)の量と種類が合わずに、効きすぎて血圧が低下してしまう

低血圧症の症状

  • 血圧低下によって以下のような症状が出現する
    • 手足が冷たくなる、手足のしびれ
    • ふらつき、めまい
    • 気が遠くなる、失神意識障害
  • 血圧低下によって気を失いかけることを俗に「貧血を起こした」と言うことがあるが、医学的な意味での貧血とは本来異なる
    • 医学的に言う貧血とは、血液中のヘモグロビン濃度が低いことを指す

低血圧症の検査・診断

  • 血圧を測定することで診断する
  • 二次性低血圧(他の病気が原因で血圧が低下していること)の場合には、その原因となる病気を突き止めるために各種検査を行う
    • 心電図検査
    • 胸部レントゲン検査(X線写真)
    • 血圧が下がる薬を使用していないかの確認

低血圧症の治療法

  • 血圧が普段から低い人であっても、症状がなければ特に治療の必要はない
    • 二次性低血圧の場合には、低血圧の原因となっている病気の治療を行う
  • 薬剤による治療
    • 血液量の減少が原因の場合には、点滴治療(水分や塩分中心の点滴)を行う
    • 低血圧の原因が明らかだが、その原因を改善させるのが難しい場合には、対症療法として血圧を上げる作用の薬を日々使用していくこともある
    • 薬の副作用で低血圧になっている場合には、薬の量や種類を調整する

低血圧症に関連する治療薬

昇圧薬

  • 交感神経の活動を活発にし血圧を上げることで低血圧症によるふらつき、めまいなどの症状を改善する薬
    • 低血圧症では血圧が低くなっていることで、ふらつき、めまい、意識障害などがあらわれる
    • 交感神経の働きが活発になると、心臓の働きが活発になったり、血管が収縮することで血圧が上がる
    • 本剤は交感神経の働きを促進し、血圧を上げる作用をあらわす
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