ツツガムシ病の基礎知識
POINT ツツガムシ病とは
ツツガムシ(マダニの仲間)に刺されることで感染する病気です。ツツガムシの持っているリケッチアという病原菌が問題となります。主な症状は、高熱・発疹・倦怠感・頭痛・目の充血・リンパ節の腫れなどです。重症になると、肝機能不全、播種性血管内凝固(DIC)が起こり、多臓器不全で危険な状態になることもあります。診断の際には、ツツガムシの刺し口を見つけることがとても重要です。ほかには血液検査や細菌検査が行われます。治療には抗菌薬を用います。ツツガムシ病が心配な人や治療したい人は、感染症内科や皮膚科を受診してください。
ツツガムシ病について
- リケッチアという病原菌に感染した状態
- ツツガムシ(マダニの仲間)に刺されることで感染する
- ヒトからヒトへうつることはない
発症 の時期は春と秋に多い- 北海道や沖縄では感染が少ないことが知られている
ツツガムシ病の症状
ツツガムシ病の検査・診断
- 血液検査
炎症 の程度や肝機能などを検査する- ツツガムシ病に感染しているかを検査するため
抗体 価を調べる
- 血液や刺し口のかさぶたから、病原菌の遺伝子を特定する検査(PCR法)を行う
ツツガムシ病の治療法
抗菌薬 を使用して治療を行う- テトラサイクリン系の抗菌薬(使用できない場合はクロラムフェニコールなど)
- 無効な抗菌薬が多いので注意が必要(以下はその主な例)
- ペニシリン系抗菌薬
- セフェム系抗菌薬
- アミノ配糖体系抗菌薬
- ニューキノロン系系抗菌薬
ツツガムシ病に関連する治療薬
テトラサイクリン系抗菌薬
- 細菌のタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
- 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
- タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
- 本剤は細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑える
- 内服薬は薬剤の作用持続時間により(短い順に)短時間作用型、中等度作用型、長時間作用型に分けられる
- 他の種類の抗菌薬と比較した時の特徴
- ブルセラ症、ライム病などでは優先的に使用される薬剤
- ヘリコバクター・ピロリ感染での除菌治療で使用される場合もある(他の抗菌薬に耐性がある場合など)
- 熱帯熱マラリア予防などに使用する場合もある
ツツガムシ病の経過と病院探しのポイント
ツツガムシ病が心配な方
ツツガムシ病では、だるさや熱、皮膚のぶつぶつといった症状が出ます。ダニの仲間であるツツガムシに刺されたあと1-2週間の潜伏期間を経て発症しますが、ツツガムシ自体は0.1-0.2mm程度の大きさですので噛まれたことを自覚したり、ツツガムシを肉眼で確認したりできることはほとんどないでしょう。
このような経過をたどる疾患ですので、初期の段階で症状のみからツツガムシ病だと判断するのは困難です。診断に至るためには熱などの症状に加えて、ダニのいる山や森に入った後であるという情報や、ダニの刺し口が見つかることがきっかけになります。このようなことからご自身がツツガムシ病ではないかと心当たりがあり、診察を希望する場合には、可能であれば感染症科(感染症内科)のある病院の受診をお勧めします。一般的な内科のクリニックでも初期対応は可能ですが、ツツガムシ病の検査や治療に慣れているのは感染症科の医師です。
ツツガムシ病でお困りの方
ツツガムシ病は診断が難しい病気ですが、逆に言えば診断がついたあとは抗生物質で治療を行います。診断がついてしまえば、その後にどこでどのような治療を受けるか迷う余地はあまりありません。
ツツガムシ病は従来では東北地方を中心に患者が発生していましたが、現在は全国的に発生が見られます。山や森に入る際には長袖長ズボンを着用し、ダニに限らず虫刺されや怪我の予防をぜひ心がけてください。
ツツガムシ病のタグ
ツツガムシ病に関わるからだの部位

