こうしんへるぺす
口唇ヘルペス
成人で最もよくみられる単純ヘルペスの一種。
9人の医師がチェック 47回の改訂 最終更新: 2025.01.07

口唇ヘルペスの検査:皮膚科などで行う検査について

口唇ヘルペスの検査では主に問診と身体診察が行われます。問診で病気の症状や経過の質問が行われ、身体診察で水ぶくれや赤みのある部分の診察が行われます。状況に応じて血液検査やウイルスに感染しているかどうかを調べる検査が行われます。ここでは口唇ヘルペスと診断するまでの検査について詳しく説明します。

1. 問診

はじめに行われる検査は問診です。最近では問診票などに詳しく記載し、それを参考に診察が行われます。問診は病気の経過や症状を把握するのにとても重要です。皮膚症状に関しての質問や、身体状況や生活背景に関しての質問があります。

症状に関しての質問

受診するきっかけとなった症状に関して詳しく聞かれます。具体的には次のような質問をされることが多いです。

  • 皮膚の症状がある部位はどこか
  • いつ頃から皮膚の症状が起きているか
  • 皮膚の自覚症状はなにがあるか
  • 全身の自覚症状はなにがあるか
  • 皮膚の症状の原因として思い当たることがあるか
  • 同じような皮膚の症状が以前にもあったか

質問内容について詳しく説明します。

◎皮膚の症状がある部位はどこか

口唇ヘルペスは主に唇にできます。まれですが唇には症状がなく口内炎のみができることがあります。

◎いつ頃から皮膚の症状が起きているか

皮膚の症状にいつ頃気がついたのか、その症状に気がついてから症状は悪化しているのか、などについて伝えてください。

医療機関を受診するのは発疹ができてからかもしれませんが、口唇ヘルペスでは皮膚の赤みや水ぶくれができる1-2日前からピリピリした違和感やかゆみが起こります。痛みや違和感がいつからはじまっているのか、皮膚の赤みなどの症状がいつから起きているのか伝えてください。

◎皮膚の自覚症状はなにがあるか

どんな症状があるか伝えてください。例えば次のような症状があると思います。

  • 痛い
  • かゆい
  • 違和感がある
  • じゅくじゅくする
  • かさかさする
  • ぶつぶつする
  • 赤くなっている

上記の症状はいずれも口唇ヘルペスで起こりやすい症状です。特に痛みやかゆみ、違和感などは目で見ただけではわからない症状なので、お医者さんに伝えるようにしてください。

◎全身の自覚症状はなにがあるか

口唇ヘルペスのみでは発熱などの全身の症状が起こることはありませんが、はじめて単純ヘルペスウイルスに感染した時には発熱やリンパ節の腫れなどが起こることがあります。皮膚症状に加え発熱などが起きている場合には他の病気の可能性もあります。

◎皮膚の症状の原因として思い当たることがあるか

皮膚の症状の原因として思い当たるものがあれば伝えてください。口唇ヘルペスは疲れやストレスが多い時や、病気の後などの身体の抵抗力が低下しているときに起こりやすいです。

また口唇ヘルペスと区別が必要な他の病気の原因として疑われる、化粧品などの変更や特定の食べ物の摂取などがありましたら伝えてください。

◎同じような皮膚の症状が以前にもあったか

口唇ヘルペスは一般的には繰り返して起こすことが多い病気です。以前にも同じような症状があった場合には、その時どのような症状であったかを伝えてください。また、以前に医療機関に受診した場合には、どのような治療を受けたかについてわかる範囲で伝えてください。

身体状況や生活背景に関しての質問

治療するにあたって必要な情報を得るために、他の病気や生活に関しての質問も行われます。

  • 以前に治療した、もしくは現在治療中の病気、けが、持病はあるか
  • 常用薬やサプリメントの服用はあるか
  • 薬や食べ物などのアレルギーはあるか
  • 喫煙をどの程度するか
  • 飲酒をどの程度するか

重要な質問をより詳しく説明します。

◎以前に治療した、もしくは現在治療中の病気、けが、持病はあるか

以前に治療を受けたことがある病気や、現在治療中の病気などがある場合には伝えてください。ある病気の一症状として皮膚炎が起こることや、病気の薬の副作用によって起こる皮膚炎などの可能性もあります。

◎常用薬やサプリメントの服用はあるか

現在使用している薬やサプリメントがあれば教えてください。新しく薬を服用する時には飲み合わせを確認する必要があります。医療機関に受診する時は必ずお薬手帳を持参するようにしてください。

2. 身体診察

身体診察では水ぶくれのできている部分をよく診察します。口唇ヘルペスでは同じような大きさの水ぶくれやただれが起こるので、多くの場合には診察のみで診断が行われます。

まれに帯状疱疹の区別が必要になります。口唇ヘルペスと帯状疱疹では治療が少し異なるからです。症状のある部位を詳細に診察し、水ぶくれやただれの範囲や、形などで区別が行われます。

一般的に口唇ヘルペスは左右の唇に症状が起こることがあります。つまり、身体の左右の中心の線を超えて反対側まで広がることがあります。そして水ぶくれの大きさはほとんど同じです。

一方、帯状疱疹では左右どちらかに症状が起こり身体の真ん中を超えて広がることはまれです。また唇周囲から頬までなど広い範囲で症状が起こることがあります。水ぶくれやただれも大きさが揃っておらず、かさぶたになっているものも混じります。

3. 血液検査

多くの場合は口唇ヘルペスのみで血液検査が行われることはありません。血液検査が行われるのは、全身状態のうち特に腎機能を調べる必要があるときと、はじめてヘルペスウイルスに感染したと考えられるときです。

腎機能を把握するための検査

ヘルペスウイルス治療薬の副作用に腎機能障害とアシクロビル脳症があります。アシクロビル脳症とはヘルペスウイルスに対する治療薬を使用した後に、会話ができなくなったり、意識がボーッとしたり、幻覚がみえたりすることです。腎機能が低下している人ではこれらの副作用を起こすリスクがあります。

特に高齢者では腎機能が低下していることが多く、腎機能障害やアシクロビル脳症を起こしやいため、内服治療を始める前にあらかじめ血液検査で腎機能を調べておきます。

ウイルスに関する検査

血液検査では単純ヘルペスウイルスに対する抗体を測定することができます。抗体とは身体で異物と認識されたものを排除するために体内で作られるタンパク質です。単純ヘルペスウイルスに対する抗体が作られているかどうかを調べることで、単純ヘルペスウイルスに感染したかどうかを推定します。この検査ははじめて単純ヘルペスウイルスに感染した時には診断に役立ちますが、もともと持っていたヘルペスウイルスが増殖して再発した時には参考になりません。

はじめて感染した時には血液検査で診断が行われることがあります。ひとつは、感染したばかりの時とその2週間後の2回同じ血液検査を行って、体内のヘルペスウイルスに対するIgG抗体の量の増加率を調べて診断するペア血清という診断方法です。

もうひとつは感染初期に増加するヘルペスウイルスのIgM抗体を測定する方法です。IgM抗体は感染初期に増加する抗体であるため、ヘルペスウイルスのIgM抗体が増加していれば、現在起きている感染がヘルペスウイルスのものだと診断されます。

いずれもヘルペスウイルスに対して身体が作る抗体の量を測定して診断が行われます。

4. ウイルスの検査

水ぶくれの内容物を使ってヘルペスウイルスの感染が起きているかどうかや、単純ヘルペスウイルスのどの型にかかっているかを調べることができます。多くの場合には皮膚の水疱びらんの見た目のみで診断するため、行われることは少ない検査です。

Tzanck試験(ツァンクテスト)

水ぶくれの内容物を拭き取って、ガラス板に塗りつけて染めるとウイルスを含んだ細胞に特徴的な像が見られます。簡単に行うことができる検査ですが、帯状疱疹ウイルスとの区別ができないことや、単純ヘルペスウイルスが1型なのか2型なのかなどを区別することができないため、あくまで補助的な診断です。

ヘルペスウイルス抗原検査

抗原とは身体に免疫反応を起こすものを言います。特殊な検査方法を用いて水ぶくれの内容物の中に単純ヘルペスウイルスがいるかどうかを調べることができます。単純ヘルペスウイルス1型と2型の区別も場合によっては行うことができます。

5. 細胞診

細胞診は必ずしも必要な検査ではありません。口唇ヘルペスではない病気が考えられる場合などに行われます。水疱の中身をとって顕微鏡でみる検査が行われます。