だいちょうぽりーぷ
大腸ポリープ
大腸の内側に、粘膜の一部が盛り上がったこぶ(ポリープ)ができた状態
6人の医師がチェック 131回の改訂 最終更新: 2022.05.16

大腸ポリープの原因について:加齢・肥満・遺伝・大腸の病気(クローン病・潰瘍性大腸炎)などとの関係性

大腸ポリープは高齢者や肥満の人、遺伝性の病気をもつ人、大腸の病気をもつ人にできやすいことが知られています。それぞれの原因について説明します。

1. 大腸ポリープの原因

大腸ポリープの原因として主に以下のものが知られています。

  • 加齢
  • 肥満
  • 遺伝性ポリポーシス
  • 炎症性腸疾患

これらの原因がある人は大腸ポリープができる可能性が高くなります。とはいえ、必ず大腸ポリープができるわけではありません。また、これらの原因がなくても大腸ポリープができることがあります。

2. 加齢

年齢を重ねると大腸ポリープができやすくなることが知られています。

50歳の時点で約20-30%の人に、70歳までには50%の人に大腸腺腫がみつかるという研究報告があります。また、年齢が高いほど大腸がんになりかけのポリープが増えるとされています。

一部の大腸ポリープは大腸がんに変化することが知られています。このため、40歳を超えると大腸ポリープや大腸がんの検査が勧められます。検査では便潜血検査や下部消化管内視鏡検査大腸カメラ)が行われます。

3. 肥満

大腸ポリープの原因の1つに肥満があります。

肥満を示す指数であるBMI(Body Mass Index)が高いほど大腸ポリープの人の割合が増えることを示した研究報告があります。

BMIは次の計算式で求められます。

  • 体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]

BMIの正常値は18.5以上25未満です。日本人の場合、25を超えると肥満と診断されます。BMIが25を超えると大腸ポリープができる人の割合が増加するとされています。このため、減量は大腸ポリープの予防に有利に働く可能性があります。食事療法や運動療法を取り入れて減量に取り組んでみてください。

とはいえ、食事療法や運動療法を1人で行うのは簡単ではありません。お医者さんや管理栄養士にアドバイスをもらうと、上手に行うことができるかもしれないので相談してみてください。

4. 遺伝(家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス))

一部の大腸ポリープは遺伝が関係していることがわかっています。

家族性大腸腺腫症家族性大腸ポリポーシス)は100個以上のポリープができる病気で、高い確率で大腸がんになることが知られています。家族性大腸腺腫症はAPCという遺伝子の変異によって起こり、この変異は親から子どもに50%の確率で遺伝することがわかっています。そのため血縁者に家族性大腸腺腫症の人がいる場合には、遺伝子検査を行ったり若年の頃から大腸内視鏡の定期検査が行われます。また、家族性大腸腺腫症と診断された場合には、将来がん化する可能性が極めて高いので、大腸をすべて取り除く手術が行われます。

家族性大腸腺腫症は「家族性腺腫性ポリポーシスの基礎情報ページ」でも詳しく説明しているので参考にしてください。

5. 炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)

クローン病潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症を起こす炎症性腸疾患の一種です。大腸に炎症が起こると炎症性ポリープができることがありますが、炎症性ポリープはがん化の可能性が低く治療の必要はありません。

ただし潰瘍性大腸炎では炎症性ポリープとは別に大腸がんができやすいことが知られているため、定期的な検査を受ける必要があります。

それぞれの病気については「クローン病の詳細情報ページ」、「潰瘍性大腸炎の詳細情報ページ」で詳しく説明しているので参考にしてください。

参考文献
・日本消化器病学会/編, 大腸ポリープ診療ガイドライン, 南江堂, 2020
・FA Macrae, Overview of Colon polyps, UpToDate