ひふがん
皮膚がん
皮膚に生じるがんの総称
6人の医師がチェック 162回の改訂 最終更新: 2023.09.11

皮膚がんのステージ(病期分類)について

皮膚がんのステージがんの広がり具合によって決まります。ステージを調べることで、最適な治療法が選びやすくなります。ここでは皮膚がんのステージの詳しい説明とステージごとの治療法について説明します。

1. 皮膚がんのステージについて

ステージはがんの進行度を表すものです。がんの大きさや転移の有無からどのステージかがわかります。皮膚がんではIからIVの4つに大別され、次の3つの要素によって決まります。

【皮膚がんのステージを決める要素】

  • 皮膚でのがんの広がり:大きさや厚み
  • リンパ節転移有無
  • 遠隔転移の有無

皮膚がんにはいくつか種類があり、ステージを判断する際の基準がそれぞれで異なります。ここでは皮膚がんのほとんどを占める「有棘細胞がん」「基底細胞がん」「悪性黒色腫」について説明します。

有棘細胞がん

ステージI
  • 腫瘍の大きさが2cm以下で、真皮または真皮から皮下組織の中にとどまっている
ステージII
  • 腫瘍の大きさは2cmを超えているが、真皮または真皮から皮下組織の中にとどまっている
ステージIII
  • 腫瘍の大きさにかかわらず、腫瘍の深さが皮下組織よりも奥の筋肉、軟骨、骨などにおよんでいる
  • 腫瘍の大きさにかかわらず、所属リンパ節と呼ばれる首、脇の下、太ももの付け根のリンパ節に転移がある
ステージIV
  • 最大径が6cm以上のリンパ節転移がある
  • 所属リンパ節を超えて遠隔転移をしている

基底細胞がん

ステージI
  • 最大径が2cm以下のがん
ステージII
  • 最大径が2cmを超えており4cm以下のがん
ステージIII
  • 最大径が4cmを超えているがん、または軽度の骨のびらん、もしくは神経周囲への浸潤、もしくは深部への浸潤をともなうがん
  • 1個のリンパ節に最大3cm以下のがんの転移がある
ステージIV
  • 1個のリンパ節に最大径が3cmを超えており6cm以下のがんの転移がある、もしくは複数のリンパ節に転移があるが、すべて最大径が6cm以下のがん
  • リンパ節転移の有無に関わらず、軟骨や骨髄への浸潤を伴うがんまたは椎間孔への浸潤および/または椎間孔から硬膜上腔までの浸潤を含む中軸骨格への浸潤を伴うがん
  • がんの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、遠隔転移を伴うがん

悪性黒色腫

ステージI
  • 潰瘍がなくがんの厚さが2mm以下
  • 潰瘍はありがんの厚さが1mm以下
ステージII
  • 潰瘍がなくがんの厚さが2mmを超える
  • 潰瘍がありがんの厚さが1mmを超える
ステージIII
  • 1個以上のリンパ節転移がある
ステージIV
  • 他の臓器に転移している

上記のステージ分類の条件にはかなり専門的な内容が含まれているので、憶える必要はありませんが、お医者さんから説明があった際に確認してみると良いかもしれません。ステージはこの後説明する「治療法」に密接に関わっています。

2. 皮膚がんのステージと治療法の関係について

皮膚がんではステージごとに有効な治療法が分かっています。ここでは、「有棘細胞がん」「基底細胞がん」「悪性黒色腫」に分けてステージに応じた治療について説明します。手術や抗がん剤治療放射線治療の詳しい説明は「こちらのページ」を参考にしてください。

有棘細胞がんのステージごとの治療法

有棘細胞がんの治療は基本的には手術です。放射線治療にも効果があるので、必要に応じて使われます。

■ステージI、II

ステージI、IIは腫瘍が皮膚に留まっている状態です。治療の第一選択は手術です。

早期の段階なので、がんの広がりが大きくなく、手術でがんを取り切れれば、完治の可能性が高いです。一方で、手術に身体が耐えられない人や、目や鼻といった臓器に近い場所にできたために手術でがんを取り切れない人には抗がん剤治療や放射線治療が検討されます。

■ステージIII

ステージIIIは所属リンパ節(がんができた場所に近いリンパ節)に転移がある状態、または、がんが皮膚を超えて周り(骨や筋肉)に入り込んでいる状態です。がんを含んでいる皮膚や筋肉、骨、リンパ節が取り除かれます。手術が難しい人にはステージI、IIと同様に抗がん剤治療や放射線治療が行われます。

■ステージIV

ステージIVはがんができた場所からから離れた部位に転移(遠隔転移)した状態です。全身にがん細胞が広がっていると考えて、全身に効果が現れる抗がん剤治療が中心になります。 がんができた皮膚に痛みや出血が起こっている人には、抗がん剤治療だけではなく、手術を行いがんを取り除いて症状を和らげます。また、転移によって痛みやしびれなどが現れている人には、放射線治療を行い、症状をできる限り和らげます。

基底細胞がんのステージと治療法

基底細胞がんの人にはステージに関わらず、まず手術が検討されます。「手術が難しい場所にがんがができている人」や「手術に身体が耐えられない人」には手術の代わりとして、放射線治療が検討されます。 基底細胞がんは基本的には転移しにくいと考えられていますが、転移がある人には抗がん剤治療が行われます。しかし、転移自体がまれなため、有効な抗がん剤治療がはっきりしていません。

悪性黒色腫(メラノーマ)のステージと治療法

有棘細胞がん基底細胞がんと同様に、悪性黒色腫の治療も基本的には手術です。早期の人は病気の皮膚を取り除く手術で治療が完了できる可能性があります。一方で、進行した人にはリンパ節郭清や抗がん剤治療が併せて行われます。

■ステージI

ステージIは最も早期の状態です。がんを取り除く手術のみで治療を終えることができます。

■ステージII

ステージIIはステージIよりがんが大きく、より広い範囲で切除が必要です。また、リンパ節転移が起こっている可能性が高いので、転移が最初に起きやすいリンパ節(センチネルリンパ節)を一部取り出してがん細胞の有無が確認されます(センチネルリンパ節生検)。センチネルリンパ節に転移があれば、より広い範囲のリンパ節まで転移していると考えて、これらを取り除くリンパ節郭清が行われます。なお、センチネルリンパ節生検やリンパ節郭清の詳しい説明は「こちらのページ」を参考にしてください。

■ステージIII

ステージIIと同様にがんができた皮膚を広範囲に取り除きます。ステージIIよりリンパ節転移を起こしている可能性が高いので、センチネルリンパ節生検をせずに、リンパ節郭清が行われることが多いです。再発する危険性が高いことから、手術後には再発率を下げる目的で抗がん剤治療が行われます。

■ステージIV

ステージIVは他の臓器にがんが転移している状態です。全身にがんが広がっていると考えられるので、効果が全身に現れる抗がん剤治療が中心になります。がんができている皮膚に痛みや出血などの目立つ症状がある人には、その部分を取り除く手術が抗がん剤治療に併せて行われます。

参考文献

日本皮膚科学会ガイドライン作成委員会, 皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第2版, 日皮会誌:125(1),5-75,2015
・「あたらしい皮膚科学 第2版」(清水 宏 / 著)、中山書店、2011年
・「がん診療レジデントマニュアル 第7版」(国立がん研究センター内科レジデント / 編)、医学書院、2016年
全がん協加盟施設の生存率共同調査