肋間神経痛の原因は?帯状疱疹・骨折・手術の後遺症など
肋間神経痛は肋骨に沿ってある肋間神経が原因で症状がでます。肋間神経痛の原因となる病気は多様です。ここでは肋間神経痛を起こす病気や痛みが起こるメカニズムなどについて解説します。
1. 肋間神経痛はなぜ起こるのか?:痛みのメカニズムについて
痛みのメカニズムにはいくつかに分けることができます。
最も多い痛みは体に物が当たったり傷ついたりして感じるものです。体は皮膚や内臓などいたるところに痛みを感じるセンサーがあります。センサーが反応して神経が痛みを脳に伝えます。センサーが反応する痛みを侵害受容性
一方で痛みを伝える神経が過剰に反応して痛みがでることもあります。神経が過敏になる原因は神経に傷がつくことなどです。神経の過剰な反応の痛みを神経障害性疼痛といいます。肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)は神経障害性疼痛に分類されます。
2. 肋間神経痛に初期症状はあるのか?
典型的な肋間神経痛は突然胸が痛くなるなどです。突然起こるために初期症状はないと言えます。突然症状がでるので肋間神経痛は何か重い病気ではないかと心配になることも多いです。
3. 肋間神経痛の原因:帯状疱疹・骨折・手術の後遺症など
肋間神経痛は様々な病気などを原因として発生します。肋間神経痛の原因には以下のようなものがあります。
感染症 - 骨や筋肉の病気
- 手術の後遺症
- 乳がんの手術後:乳房切除後症候群(PMPS: Postmastectomy Pain Syndrome)
- 開胸手術後:開胸術後症候群
がん の転移 特発性 (原因不明)
肋間神経痛は様々な原因があります。一方で肋間神経痛の原因がはっきりとがわからない場合もあります。原因がはっきりとしている場合には原因を治療することで症状の緩和や完治が期待できます。
帯状疱疹(たいじょうほうしん)の後遺症
帯状疱疹は
帯状疱疹は痛みのある水ぶくれが特徴です。水ぶくれが消えた後にも痛みが続くことがあります。帯状疱疹後の痛みは帯状疱疹後神経疼痛(PHN: Postherpetic Neuralgia)と呼ぶこともあります。帯状疱疹は肋間神経に沿ってできることが多く肋間神経痛の原因になります。帯状疱疹後の肋間神経痛は数か月から数年に及ぶことがあります。
脊椎圧迫骨折
圧迫骨折は骨が荷重などにより潰れてしまうタイプの骨折です。圧迫骨折は
脊椎の中には神経があります。脊椎が骨折すると骨の破片が神経を圧迫したりして肋間神経痛の原因になることがあります。
肋骨骨折
肋間神経は肋骨の裏側にあり肋骨に沿った形をしています。肋骨骨折では骨の折れ方によって骨が肋間神経を傷つけてしまい肋間神経痛の原因になります。神経の損傷の度合いでは修復に時間がかかることがあります。肋骨骨折が治った後にも痛みが続く場合は肋間神経痛の可能性があります。
椎間板ヘルニア
背骨は多くの骨が縦に重なることで構成されています。
肋間神経の根本にあたる場所に椎間板ヘルニアが起こると神経を圧迫して痛みや痺(しび)れの症状が現れる肋間神経痛となります。
手術の後遺症(乳がん:PMPS、開胸手術:開胸術後症候群)
手術の後遺症で肋間神経痛が起こることがあります。肋間神経痛の原因になる手術として乳がんや肺がんの手術が知られています。
乳がんの手術後に起きる肋間神経痛は乳房切除後症候群(PMPS: Postmastectomy Pain Syndrome)とも呼ばれます。PMPSは手術による肋間神経痛への影響が原因だと考えられています。PMPSでは胸や腋窩(えきか;脇の下)、上腕(二の腕)にヒリヒリした痛みを感じます。
肺など胸に位置する臓器の病気は胸を切り開いて手術をすることがあります。胸を切って行う肺や心臓などの手術を開胸手術といいます。開胸手術の後に肋間神経痛が起こることがあります。開胸手術後の肋間神経痛は開胸術後疼痛症候群と呼ばれもします。開胸手術は肋骨と肋骨の間を押し広げます。その際に肋間神経を圧迫したりすることが開胸術後症候群の原因だと考えられています。
手術が原因の肋間神経痛は数年に渡って症状が続くことがあります。治療には神経障害性の疼痛に効果的な薬や
悪性腫瘍の骨転移
がんは骨に転移することがあります。骨転移が骨の近くの神経に影響を及ぼすこともあります。肋間神経痛を起こすのは脊椎(背骨)や肋骨にがんが転移したときです。
がんの骨への転移は放射線や
特発性
肋間神経痛の原因を調べたものの明らかなものがみつからない場合を特発性肋間神経痛ということがあります。特発性肋間神経痛の原因は筋肉が硬くなることやストレスが関連しているという意見もありますがはっきりとしたことはわかってはいません。
特発性の肋間神経は鎮痛剤や神経ブロックなどを使って症状を和らげたりする治療が中心になります。