じゅうけつきゅうちゅうしょう
住血吸虫症
寄生虫の一種である住血吸虫によって起こる感染症。日本では過去に日本住血吸虫症が流行した
3人の医師がチェック 35回の改訂 最終更新: 2017.12.06

住血吸虫症の基礎知識

POINT 住血吸虫症とは

寄生虫の一種である住血吸虫によって起こる病気です。住血吸虫は淡水に住む巻き貝などに潜んでいるため、川や湖で泳いだりして感染することがあります。住血吸虫症を大きく分けると、腸管住血吸虫症と泌尿生殖器住血吸虫症になります。主な症状は、皮膚のかゆみ・発熱・下痢などになります。 便検査や血液検査で診断します。抗寄生虫薬を用いて治療します。住血吸虫症が心配な人や治療したい人は、感染症内科を受診して下さい。

住血吸虫症について

  • 寄生虫の一種である住血吸虫によって起こる感染症
  • 住血吸虫は、淡水に住む巻貝に寄生している
    • 住血吸虫のいる淡水で泳いだりして、幼虫が皮膚から侵入することで感染する
    • 幼虫は血管内に入り、数週間で成虫になり血管内で産卵する
    • 卵は血流に乗って体の様々な部位に行き、臓器にダメージを与える
  • 住血吸虫の種類によって、5つに分けられる
    • 日本住血吸虫:日本、中国、インドネシア、フィリピン
    • マンソン住血吸虫:アフリカ、中南米(カリブ海諸国、ブラジル、ベネズエラ)、中東
    • メコン住血吸虫:カンボジアとラオスの一部地域
    • インターカラーツム住血吸虫:中部アフリカの一部地域
    • ビルハルツ住血吸虫:アフリカ、中東
  • 上記の住血吸虫症は、症状の現れ方として、大きく2種類に大きく分けられる
    • 腸管住血吸虫症
      • 肝臓や消化管に障害が起こる
      • 日本住血吸虫、マンソン住血吸虫、メコン住血吸虫、インターカラーツム住血吸虫
    • 泌尿生殖器住血吸虫症
      • 生殖器や外性器に障害が起こる
      • ビルハルツ住血吸虫
  • 2011年のアメリカ疾病予防管理センターの報告によると、住血吸虫は世界で2億4千万人が感染していると推定される
  • 日本での住血吸虫の感染症は、1996年に撲滅宣言が出されたが、海外で感染し日本に入ってくる(輸入感染症)ことがある

住血吸虫症の症状

  • 共通の症状として、感染して数日は幼虫が侵入したことによる皮膚炎が起こりかゆみなどが起こる
  • 腸管住血吸虫症の症状
    • 幼虫は腸や肝臓の周囲の静脈へ移動し、感染後1-2ヶ月後で成熟し産卵をする
    • 卵が腸の粘膜や肝臓へ運ばれることで炎症反応を起こしダメージが起こる
      • 発熱、下痢、肝機能障害などが起こる
    • 慢性期には大腸ポリープ肝硬変の原因となることもある
  • 泌尿生殖器住血吸虫症
    • 幼虫は生殖器や外性器の周囲の静脈に移動し産卵する
    • 卵が生殖器や外性器の粘膜に運ばれることで炎症反応を起こしダメージが起こる
      • 発熱、血尿などが起こる
    • 慢性期には膀胱がんの原因となることがある

住血吸虫症の検査・診断

  • 検便(日本住血吸虫、マンソン住血吸虫、メコン住血吸虫、インターカラーツム住血吸虫)、検尿(ビルハルツ住血吸虫)で虫卵が出ないか確認する
  • 血液検査で抗体の存在の有無を確認する
    • 感染後6〜8週間後に感染者に抗体ができた段階で行う
    • 過去に感染したことがあると抗体ができてしまうので、抗体があるからいま感染していると判断はできない弱点がある

住血吸虫症の治療法

  • プラジカンテルという駆虫薬を使用する
    • この薬は成虫に効果があるため、体内に入った幼虫が成虫になるのを見計らって服薬する
  • 肝硬変膀胱がんなどに進行しないように早期からの治療が重要
  • ワクチンがないため、住血吸虫のリスクがある地域では、淡水に入らないなど予防することが重要

住血吸虫症が含まれる病気

住血吸虫症のタグ

住血吸虫症に関わるからだの部位