そうじょうぶんせつせいしきゅうたいこうかしょう
巣状分節性糸球体硬化症
腎臓の糸球体の一部が硬くなることが原因で腎臓機能が低下し、尿中にタンパク質が排泄されてしまう。ネフローゼ症候群を起こす
5人の医師がチェック 87回の改訂 最終更新: 2026.09.27 (斎木 寛・医師)

巣状分節性糸球体硬化症の基礎知識

POINT 巣状分節性糸球体硬化症とは

腎臓の中には「糸球体」という毛細血管が集まった組織があり、血液から老廃物や余分な水分を濾過して尿をつくっています。巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)は、一部の糸球体の一部分が硬くなる(硬化する)ことを特徴とする腎臓の病気です。FSGSはネフローゼ症候群の原因の一つで、大量の蛋白尿や身体のむくみなどが現れることがあります。一方、FSGSにはいくつかのタイプがあり、典型的なネフローゼ症候群を起こす原発性FSGSのほか、肥満などに伴って起こる二次性FSGSや、遺伝子の異常が関係するFSGSなどがあります。診断には尿検査や血液検査などを行い、診断を確定するためには腎生検(腎臓の組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)が重要です。治療法はFSGSのタイプによって異なります。原発性FSGSではステロイド薬や免疫抑制薬などによる治療が行われますが、二次性FSGSでは原因となっている病気への治療や、血圧・蛋白尿を抑える治療などが中心になります。治療を行っても腎機能が徐々に低下することがあり、腎不全が進行した場合には透析や腎移植などの腎代替療法が必要になることがあります。健康診断などで蛋白尿を指摘された場合には、FSGSを含むさまざまな腎臓病が隠れていることがあります。蛋白尿が続く場合には、内科や腎臓内科を受診してください。

巣状分節性糸球体硬化症について

  • 腎臓に存在する糸球体の一部が硬くなる(硬化する)ことを特徴とする病気
    • 糸球体は血液から老廃物や余分な水分を濾過して尿をつくっている
    • 正常な糸球体ではアルブミンなどの蛋白質はほとんど尿中に排出されない
    • 糸球体が障害されると、尿中に多くの蛋白質が排出されるようになる
    • ネフローゼ症候群を起こす代表的な病気の一つ
  • 原因によっていくつかのタイプに分けられる
    • 原発性FSGS
    • 肥満などに伴う二次性FSGS
    • 遺伝子の異常が関係するFSGS など
  • 経過は患者によって異なる
    • 治療によって蛋白尿が減少・消失することがある一方、治療が効きにくい場合もある
    • 蛋白尿が続く場合などには、徐々に腎機能が低下して腎不全に進行することがある

巣状分節性糸球体硬化症の症状

  • 初期には自覚症状がなく、健康診断などの尿検査で蛋白尿を指摘されて見つかることがある
    • ネフローゼ症候群を起こした場合には、次のような症状が現れる
    • むくみ:特に足やまぶたなどに現れやすい
    • 体重の増加:身体に水分がたまることで起こる
    • 尿量の減少
    • 尿の泡立ち:多量の蛋白尿によってみられることがある
    • だるさ
  • 病気が進行して腎機能が低下すると、さらに次のような症状が現れることがある
    • 息苦しさ
    • 食欲不振
    • 吐き気 など

巣状分節性糸球体硬化症の検査・診断

  • 尿検査
    • 尿中に排出される蛋白質の量を調べる
    • 尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)などを用いて、蛋白尿の程度を詳しく調べる
  • 血液検査
    • クレアチニンやeGFRなどから腎機能を調べる
    • 血清アルブミンなどを測定し、ネフローゼ症候群の有無や程度を調べる
  • 腎生検
    • 体の外から腎臓に針を刺して組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる
    • 糸球体の一部に特徴的な硬化がないかを確認する
    • 他の腎臓病との区別にも重要な検査
  • 必要に応じて、FSGSの原因を調べるための検査を行う
    • 肥満や薬剤、感染症など二次性FSGSの原因となるものがないかを調べる
    • 発症年齢や家族歴などによっては遺伝学的検査が行われることもある

巣状分節性糸球体硬化症の治療法

  • FSGSの原因やタイプによって治療法が異なる
  • 原発性FSGSでは、蛋白尿を減らして寛解を目指すために免疫抑制療法を行う
    • ステロイド薬
    • 免疫抑制薬
    • シクロスポリン
    • タクロリムス など
    • ステロイド薬が効きにくい場合などには、免疫抑制薬による治療が検討される
  • 二次性FSGSでは、原因となっている病気などへの治療を行う
  • 腎臓を保護し、蛋白尿を減らすための治療を行う
    • 血圧を適切に管理する
    • ACE阻害薬やARBなどを使用する
    • 塩分の摂りすぎを避ける
    • 腎機能などに応じて食事中の蛋白質の量を調整する
  • 治療が難しい場合などには、LDL吸着療法などが検討されることがある
  • 腎機能が大きく低下した場合には、腎不全に対する治療を行う
    • 貧血、むくみ、電解質異常などの合併症を治療する
    • 必要に応じて、血液透析や腹膜透析、腎移植などの腎代替療法を行う

巣状分節性糸球体硬化症のタグ

巣状分節性糸球体硬化症に関わるからだの部位