ちょくちょうだつ
直腸脱
直腸(肛門近くの腸)の中側が裏返しになり、肛門の外へ脱出した状態
3人の医師がチェック 84回の改訂 最終更新: 2023.10.13

直腸脱の基礎知識

POINT 直腸脱とは

肛門の手前にある「直腸」の中側が裏返しになって肛門から外に飛び出した状態のことです。直腸脱が起こると、肛門にできものができたように感じたり、痛み、便の漏れなどの症状が現れます。高齢の女性に多く、年齢を重ねることや妊娠、出産が関係していると考えられています。検査は視診(見た目の観察)や肛門鏡、CT検査、MRI検査などが行われます。基本的には自然に治るのを待ちますが、改善がない場人では、直腸を固定する手術や余分な部分を切り取る手術などを行います。直腸脱が疑われる症状がある人は消化器外科や肛門科、消化器外科、消化器内科を受診してください。

直腸脱について

  • 直腸(肛門近くの腸)の中側が裏返しになり、肛門の外へ脱出した状態
  • 主な原因
    • 便をするときにいきむこと
    • 便秘
    • 骨盤内部の筋肉が弱い
    • 直腸の固定の異常
  • 高齢者、特に女性に多い
  • 病気の種類
    • 完全直腸脱
      • 直腸のすべての層が裏返しになり、肛門の外へ脱出する状態
      • 単に直腸脱というときは、完全直腸脱を指すのが一般的
    • 不完全直腸脱
      • 腸の中に腸が重なり合う状態(腸重積
      • 肛門の外へは出てきていない

直腸脱の症状

  • 主な症状
    • 直腸の脱出
    • 肛門周囲が痛い
    • 便がもれる
    • 排便がしづらくなる
    • 残便感:便をしても、まだ出るような感じがすること
    • 直腸の粘膜が赤黒く、湿った指のような形の突起として肛門から突き出て見える
  • 症状が進んだ場合
    • 立ち上がるだけでも腸が脱出する
    • 手を使わないと自然に戻らなくなる
  • 直腸が膣へ突き出ることもある

直腸脱の検査・診断

  • 視診:いきんでもらい、直腸が脱出しているかを調べる
  • 肛門内圧検査:肛門を締める筋肉の力をみる
  • 大腸カメラ下部消化管内視鏡検査
    • 除外すべき疾患を見分けることもできる
  • MRI検査:骨盤の中の状態を調べる
  • 除外診断が必要となる疾患
    • 直腸がん
    • 子宮脱(子宮が膣から脱出する病気)
    • 膀胱脱(膀胱が膣の壁から脱出する病気)

直腸脱の治療法

  • 子どもの場合
    • なるべく手術は行わずに、自然と改善するのを待つ
  • 大人の場合
    • 外科的治療法
      • 直腸つりあげ固定術(直腸を固定する手術)
      • アルテマイヤー手術(肛門から器具を入れて直腸を切除する)
  • 主な予防法
    • 便秘の予防(下剤を調整しつつ使う)
    • 排便をする時にいきまないようにする

直腸脱のタグ

直腸脱に関わるからだの部位