ようけつせいにょうどくしょうしょうこうぐん
溶血性尿毒症症候群(HUS)
貧血、血小板減少、急性腎不全などの症状を起こす重篤な病気。O-157に感染した人などに起こることが多い
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最終更新: 2022.02.11
溶血性尿毒症症候群(HUS)の基礎知識
POINT 溶血性尿毒症症候群(HUS)とは
主に腸管出血性大腸菌(O-157)など病原性が高い大腸菌への感染をきっかけとする病気です。全身の血管で小さい血の塊(微小血栓)ができ、血流が悪くなるので、各臓器がダメージを受けます。それと同時に出血を止める血小板が消費されてしまうので出血が起きやすくなる病気です。血栓性微小血管障害(TMA)という病気の一部に含まれます。大腸菌などの感染によらず、自身の免疫異常で起きる非定型HUSという病気もあり、こちらは厚生労働省が難病に指定しています。症状としては下痢、嘔吐、腹痛、血便などの大腸菌感染症状、めまい、脱力、顔面蒼白、血圧低下などの貧血症状、紫斑、出血傾向、鼻血、歯茎からの出血などの血小板減少症状が主に見られます。治療は大腸菌感染によるHUSか、非定型HUSかで大きく異なりますが、抗菌薬治療や血液透析が行われます。HUSは小児科や、消化器内科、腎臓内科、血液内科などで治療が行われます。
溶血性尿毒症症候群(HUS)について
赤血球 が壊れることによる貧血(溶血性貧血)、血小板 減少による出血傾向、急激な腎機能 低下、が起こっている状態- 病原性を持った
大腸菌 の感染が主な原因(志賀毒素産生大腸菌:STEC)- ベロ毒素、志賀毒素などの毒素が体に直接ダメージを与える
- 腸管出血性大腸菌(O-157)に感染した人の1-10%がHUSを
発症 すると考えられている- 子供に起こることが多い
- 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と症状は似ているが、より重篤な腎機能障害が起こる
- 大腸菌などの感染によらず、自身の
免疫 異常で起きる非定型HUSという病気もある- 非定型HUSは厚生労働省の指定する難病であり、基準を満たせば治療費の補助を受けられることがある
溶血性尿毒症症候群(HUS)の症状
溶血性尿毒症症候群(HUS)の検査・診断
- 主症状と検査結果から総合的な診断が行われる
- 血液検査:血液中における
赤血球 や血小板 が減っているかや、腎機能 の程度などを調べる 細菌検査 :便から病原体への感染を調べる(便培養検査 、ベロトキシン同定)- 画像検査:
超音波検査 やCT 検査で大腸の腫れなどを確認する
- 血液検査:血液中における
溶血性尿毒症症候群(HUS)の治療法
- 入院治療が原則
- 予防
- 十分火の通っていない肉や殺菌処理されていない牛乳、チーズ、汚染された水(井戸水など)の摂取を避ける
- 手洗いを心がける
- 退院後も
腎機能 障害が残ることがあるため、長期的に経過を見ながら、その都度必要な検査や治療を受ける