てあしくちびょう
手足口病
子供におこるウイルス感染症の一つ。口や手足にぶつぶつができる
17人の医師がチェック 188回の改訂 最終更新: 2023.12.04

手足口病が治るまで何に気を付ければいい?

手足口病にかかったら、皮膚のブツブツや口の中の痛みが気になってしまう人も多いかと思います。手足口病を早く治して周りにうつさないために、生活の中で気を付けたいことをまとめます。

1. 手足口病にかかったら気を付けること一覧

手足口病にかかった本人と周りの人で、気を付けることをリストにまとめてみます。

  • 手足口病にかかった本人が気を付けること
    • しっかりと身体を休める
    • 人にうつさないよう、必要のない外出は避ける
    • 万一の危険な症状が出ないか気に留める
  • 手足口病にかかった人の家族や周りの人が気を付けること
    • できるだけうつされないよう、必要以上の接触は避ける
    • 危険な症状が出ていないかに注意して観察する

手足口病にかかっても、一般的な風邪と同じくほとんどは自然に治ります。

2. 手足口病の治療は安静が第一

手足口病にかかった人は、しっかり休んで下さい。

手足口病はほとんどの場合、免疫の働きによって自然に治ります。また、原因であるウイルスに効く薬はありません。病院やクリニックで処方される薬はかゆみなどの症状を楽にするための薬です。抗生物質は効きません。

身体が自然に治す力が大事なので、手足口病を早く治す方法は何よりも安静です。

保育園や学校、会社は休み、なるべく外出をしないように配慮してください。出席停止の決まりはありませんが、休む期間は「解熱して1日以上経って、普段の食事ができる状態」になるまでという目安があります。

3. 手足口病の感染を防ぐ方法

手足口病はうつる病気です。原因はウイルスです。手足口病のウイルスは、直接触れたり、唾が飛ぶことで人にうつります。

手足口病にかかった人は外出しない

かかった人がほかの人にうつさないためには、必要以上の接触を避けること、人に接するときにマスクをつけることが大切です。必要のない外出は避けて、体力回復に専念してください。

家族が手足口病にかかったらうつされないよう注意

手足口病にかかった人と一緒に暮らす家族は感染のリスクがあります。大人の手足口病は同居している子どもからうつる場合が多いです。

看病するときは、身体に直接触ったり、周囲にある服や布団に触ることはできるだけ避けてください。触れた場合はしっかりと手洗いをしてください。手足や唇・口の中の水ぶくれ以外で、一見症状がない場所にもウイルスがいる可能性があります。

手足口病にかかった人のツバや便といった排泄物には触れないようにしてください。咳やくしゃみなどで飛び散るウイルスを防ぐためには、症状が出ている人も、その周りの人もマスクをつけることが望ましいです。

手足口病の潜伏期間は3日から5日

手足口病のウイルスに感染したあと3日から5日ほどは症状がない潜伏期間になります。

潜伏期間にほかの人にうつすこともありえるので、家族が手足口病にかかったときは自分に症状がないからといって油断せず、手洗いとマスクで人にうつさないようにしてください。

手足口病のウイルスが排出される期間は?

手足口病の原因のウイルスは、症状がある人の口から1週間から2週間ほど、便からは3週間から5週間くらい、排出されています。

接触を最低限に抑えることが、うつらないための対策になりますが、手足口病になった人を完全に隔離する必要はありません。手足口病は感染しても症状が出なかったり、症状が軽微であることがほとんどです。そのため人からうつされることを過度に心配する必要性は低いと考えられています。

4. 手足口病にいい食事はある?

手足口病では口の中が痛くなっています。できるだけ刺激を抑えるため、室温以下の温度で硬くない形状のものがおすすめです。例としては、柔らかいパン、プリン、ゼリー、アイスキャンディーといったものが挙げられます。柑橘類は適していないと考えられてます。

水分をこまめに摂ることも重要です。栄養バランスや刺激の観点から、糖質の多い清涼飲料水や柑橘系のジュースは望ましくないことに注意してください。

5. 手足口病の水ぶくれは潰したほうが良いの?

手足口病の水ぶくれは潰さないほうが良いです。水ぶくれを潰すことで、原因となるウイルスを撒き散らし、ほかの人にうつる恐れがあります。

それ以外の理由として、水ぶくれを無理に潰すことで傷口が露出した状態になり、そこから手足口病以外の細菌が感染し、皮膚の症状が治るのが遅くなったり、傷跡が残ったりすることが挙げられます。

6. 手足口病だとお風呂やプールは禁止?

手足口病の症状が出ている人がお風呂やプールに入ると、水を介してほかの人にうつる可能性は、低いながらゼロではないです。本人の体力を消耗しない意味でも、ほかの人にうつさないためにも、症状が出ている間はお風呂もプールも避けたほうが良いでしょう。

とはいえ何日もお風呂に入らないのはつらいので、湯船に浸かるのはやめてシャワーのみにするのがおすすめです。

手足口病にかかったあと、いつからお風呂に入ったりプールに入ったりできるのかは明確にわかっていません。

手足口病にかかると3週間から5週間ほどは肛門からウイルスが出ている可能性があります。極端に考えれば5週間はお風呂もプールもだめだということになりますが、以下の理由で現実的ではありません。

  • 5週間は長すぎて、ずっと隔離生活をしていると社会生活に支障をきたしてしまう可能性が高い。
  • 手足口病は、ほとんどの場合が軽い症状で済む病気であるので、隔離生活を強要するメリットに乏しい。
  • 症状が治まって元気になった後はウイルスの排出量も減っていくので、仮にウイルスが少量体外に出ても、風呂やプールの水で薄まることで、健康な周囲の人が感染を起こすには至らない可能性が高い。

バランスを取れば、手足口病では「症状が治まればお風呂もプールもOK」と考えていいでしょう。

7. 手足口病でこんな症状が出たら要注意

手足口病はほとんどの場合で自然に治りますが、ごくまれに重症になります。

髄膜炎(ずいまくえん)、小脳失調症(しょうのうしっちょうしょう)、脳炎、心筋炎、神経原性肺水腫(しんけいげんせいはいすいしゅ)、急性弛緩性麻痺(きゅうせいしかんせいまひ)といった合併症を起こした場合は、全身の状態が悪くなります。

手足口病の重症の合併症による症状は、ひどい頭痛が出たり、意識がぼーっとしたり、息苦しくなったりするというものです。このような症状が出た場合は必ず、小児科、皮膚科、内科のある病院・クリニックにかかってください。