おたふくかぜ(りゅうこうせいじかせんえん、むんぷす)
おたふく風邪(流行性耳下腺炎、ムンプス)
唾液をつくる耳下腺(耳の前〜下)、顎下腺(あごの下)が腫れて痛み、熱がでる感染症。特に小児に多い
10人の医師がチェック 155回の改訂 最終更新: 2022.05.04

おたふく風邪(流行性耳下腺炎、ムンプス)の治療法について

おたふく風邪は自然治癒する病気で、特別な治療法はありません。痛みや熱など起きている症状を軽減するための対症療法が中心となります。

1. おたふく風邪に治療法はない?

おたふく風邪の原因はムンプスウイルスです。ムンプスウイルスには、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬がありません。このため原因を直接治療する方法はなく、自然治癒するのを待つしかありません。おたふく風邪になったら、起きている症状を軽減するための対症療法を行います。

2. おたふく風邪の対症療法に用いられる薬

おたふく風邪で生じる耳下腺の腫れや痛み、発熱によるつらい症状を軽減させるために、解熱鎮痛薬を使うことがあります。解熱鎮痛薬の中でもアセトアミノフェンを使用することが多いです。

アセトアミノフェン

アセトアミノフェン(商品名:カロナール®、コカール®など)には、痛みや熱を和らげる効果があり、1回の使用で4-5時間効果が持続します。アセトアミノフェンは小児や妊婦にも比較的安全に使用できる薬ですが、肝機能障害などの副作用があります。

3. おたふく風邪の予防接種について

おたふく風邪には予防接種があります。予防接種を打つことによっておたふく風邪の感染と合併症を防ぐことができます。世界100か国以上では麻疹風疹と合わせたMMRワクチンなどで定期接種が行われるようになったことで、おたふく風邪の発生が激減しています。日本ではおたふく風邪のワクチンが任意接種で接種率は2-3割と低いのが現状ですが、厚生労働省も接種の推進が望ましいワクチンだとして、定期接種の対象とすることが検討されています。

おたふく風邪の予防接種は2回の接種が推奨されています。1回目は1歳を過ぎてから、2回目は1回目から2-4年あけてから(日本小児科学会の推奨では麻疹風疹ワクチンと同じく小学校入学前の1年間で)接種します。この時期に接種できなかった場合には、4週間以上の間隔をあけて2回接種します。打ち忘れを防ぎ、予防接種の効果を確実にするために、1回目の4週間後には2回目を打つようにすると良いです。

予防接種には生ワクチンと不活化ワクチンがあります。おたふく風邪の予防接種は生ワクチンです。生ワクチンは、ウイルスの病原性を弱めてワクチンにしたものです。生ワクチンを注射した後1か月間は、他の生ワクチンも打つことはできません。ただし、生ワクチン以外のワクチン(不活化ワクチンなど)は特に間隔に制限はありません。

おたふく風邪の予防接種は現在は任意接種のため費用は自費となります。地域や病院によって価格は異なりますが1回につき数千円の費用がかかります。

過去におたふく風邪にかかったことも予防接種を受けたこともない人が、おたふく風邪患者と接触した後に予防接種を打っても、発症や重症化を防ぐことは難しいと考えられています。