げんぱつせいあるどすてろんしょう
原発性アルドステロン症
高血圧のうち、腎臓の上にある副腎という臓器が原因で生じるもの。全高血圧症患者のうち、5-10%がこれに当てはまる。
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最終更新: 2021.05.14
原発性アルドステロン症の基礎知識
POINT 原発性アルドステロン症とは
アルドステロンというホルモンの異常により高血圧が引き起こされる病気です。アルドステロンは副腎という臓器から分泌されるホルモンで、ナトリウムとカリウムという電解質の一部のバランスを調整しています。 原発性アルドステロン症はアルドステロンが過剰に分泌されるためにナトリウムが身体の中に増えて高血圧症の原因になります。原発性アルドステロン症による高血圧は一般的な高血圧に比べて治療が難しいとされています。また、高血圧以外ではカリウムという物質が減ることによって手足のしびれなどの症状が現れることもあります。原発性アルドステロン症が疑われる場合には血液検査・画像検査などを行い診断し、手術や薬物治療を行います。
原発性アルドステロン症について
- 腎臓の上にある副腎という臓器で、
アルドステロン という血圧を上昇させるホルモン がたくさん作られ、高血圧を起こす病気 - 副腎
腫瘍 (副腎にできたしこり)や副腎過形成(副腎が全体的に腫れて大きくなる)によって起こることが多い - 全高血圧症患者のうち、5~10%がこれに当てはまる(
二次性 高血圧) - 原発性アルドステロン症と似た
病態 を示す疾患- 続発性アルドステロン症:他の病気の影響で、
副腎皮質 から過剰なアルドステロンが分泌される状態 - 偽性アルドステロン症:アルドステロンの分泌異常がないにもかかわらず、漢方薬など薬剤の影響で同じような
症状 が生じる状態
- 続発性アルドステロン症:他の病気の影響で、
原発性アルドステロン症の症状
原発性アルドステロン症の検査・診断
- 血液検査:血液中の
ホルモン の値を調べる。- 診断に役立つ
- 起きてからの時間や、食後であるかどうか、検査値に影響のある飲み薬を飲んでいないかなど、ホルモンを測定するための条件が複数ある。
- 確定診断のためには、2~3種類の負荷試験(薬や点滴をした時にホルモンの値が変わるかどうかをみる検査)が必要。
CT 検査:副腎に腫瘤がないか、サイズが大きすぎないかを調べる。腫瘍 が小さくてCTでは発見できないこともある
- 副腎静脈サンプリング
- 足の付け根の太い血管から副腎の血管までカテーテルを入れて副腎付近の血液を採取する
- どちらの副腎からホルモンがたくさん出ているかを調べる
- この検査でホルモンの過剰分泌が証明できない場合、または左右どちらからもホルモンが過剰分泌している場合は手術の実施はできない
- 手術ができない場合は薬による治療を行うため、この検査は基本的には手術を望む患者にのみ実施する
- 副腎静脈からの血液採取は技術的に難度が高く、経験豊富な施設での検査が望ましいという意見もある
原発性アルドステロン症の治療法
- 手術
- 副腎静脈サンプリング検査で片側の副腎からの
ホルモン 過剰分泌が原因である場合、腫瘍 を手術で摘出する選択も可能となる
- 副腎静脈サンプリング検査で片側の副腎からの
- 手術ができない場合は薬物療法で高血圧を治療となる
アルドステロン の作用を抑えるタイプの降圧薬を使う- 選択的アルドステロン阻害薬(エプレレノン)
- アルドステロンの作用を抑えるタイプの降圧薬だけで効果が不足している場合には、その他の一般的な降圧薬も併用する
- ACE阻害薬
- ARB
- カルシウム拮抗薬 など
- 副腎過形成で生まれつき
代謝 酵素 を持っていないことが原因の場合は、高血圧に対する薬物療法に加え、ホルモンの補充など病態 に応じた治療を行う