きょさいぼうせいどうみゃくえん(そくとうどうみゃくえん)
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)
大動脈や比較的太い動脈に炎症が起こる病気。血管炎の一種。側頭動脈に起こることが多い
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最終更新: 2022.02.26
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の基礎知識
POINT 巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)とは
大動脈や側頭動脈に代表される太い血管に炎症が起こる病気です。50歳以上の人に多く、免疫の異常が原因と考えられています。顎や眼を栄養とする血管も障害されるため、噛むときに顎が疲れやすい、ものの見え方がおかしいといったことを自覚することもあります。頭痛、発熱、体重減少も代表的な症状です。診断のためには血液検査、CT検査、MRI検査、シンチグラフィー、PET/CT検査、超音波(エコー)検査、側頭動脈生検などを行います。治療薬としてはステロイド、免疫抑制薬などの薬剤を使用します。生物学的製剤(アクテムラ)も有効であると報告されています。気になる人はリウマチ内科、膠原病内科を受診してください。
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)について
大動脈 や比較的太い動脈に炎症 が起こる病気- 頻度
- 50歳以上で
発症 するケースが多い
- 50歳以上で
- リウマチ性多発筋痛症と同時に発症することがある
- 目の血管の障害により
失明 することもあるため、診断後すぐに治療することが望ましい
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の症状
- 全身
症状 として、発熱や全身のだるさが出る - こめかみのあたりの頭痛
- 食べ物を噛んでいるとあごが痛くなる
- 視力低下、重症例では
失明 することもある - 肩や二の腕、太ももの痛みが出る(リウマチ性多発筋痛症の症状)
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の検査・診断
- 血液検査:
炎症 が起こっているかなどを調べるCRP 、赤沈 の上昇があるか調べる
- 画像検査:血管の状態や炎症が起きていそうかどうかなどを調べる
- 超音波(
エコー )検査 CT 検査MRI 検査- 高額な検査となるがGa
シンチグラフィー やPET-CT検査 も有用であるとされる
- 超音波(
組織診 :血管を一部切り取り、血管に炎症が起こっているかどうかを調べる- 側頭動脈の一部を切り取り、顕微鏡で調べる
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の治療法
巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)に関連する治療薬
トシリズマブ(IL-6阻害薬:関節リウマチなどの治療薬)
- 炎症をおこす要因となるIL-6の働きを抑えることで関節の腫れや痛みなどを改善し、骨などの損傷を防ぐ薬
- 関節リウマチでは免疫の異常により炎症反応がおき関節の腫れなどがあらわれ、その状態が続くと骨が壊され変形する
- 炎症をおこす要因となるインターロイキン6(IL-6)という物質があり、IL-6受容体に結合してその作用をあらわす
- 本剤はIL-6受容体を阻害しIL-6に由来する過剰な炎症反応などを抑える作用をあらわす
- 本剤(トシリズマブ)は関節リウマチや若年性特発性関節炎のほか、キャッスルマン病、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎などの治療に使われる場合もある(剤形によって使われる疾患が異なる場合もある)