子宮頸がんについて知っておいて欲しいこと:検診・予防(ワクチン接種)について
子宮頸がん検診で要精密検査と言われた人は、どのくらい
目次
1. 子宮頸がんが心配な人に知ってほしいこと

子宮頸がんという病気を耳にしたことがあっても、詳しく知っている人は多くはないかもしれません。ここでは、子宮頸がんが心配な人からよく聞かれる質問をまとめます。
子宮頸がんはうつるのか
子宮頸がんが人から人にうつることはありません。患者さんと接する際にうつる心配は不要です。
子宮頸がんは予防できるのか
子宮頸がんの予防には「ワクチンの接種」と「がん検診」の2つが有効です。
■ワクチンの接種
子宮頸がんの多くは
なお、ヒトパピローマウイルスは皮膚や粘膜に感染するウイルスで100以上の種類があり、このうち16型と18型が子宮頸がん全体の50-70%の原因とされています。16型と18型のヒトパピローマウイルスに対しては日本ではサーバリックス®とガーダシル®というワクチンがあり、公費による接種(定期接種)ができます。2023年4月からはシルガード®9というワクチンも定期接種が可能となりました。
子宮頸がんは国内で年間およそ1万人が罹患し、およそ3千人がなくなる病気であるため、ワクチンに期待される効果は決して小さいものではありません。重篤な副反応の報告があったため厚生労働省は積極的接種勧奨を控えていますが、WHOは接種の再開を勧告している状況です。子宮頸がんワクチンと副反応との関連性が明確でないという報告もありますが、なによりワクチンのメリットの大きさを踏まえて、多くの国内学会が接種再開を求めています。
■子宮頸がん検診
ワクチンには高い効果が期待できますが、子宮頚がんを完全に予防できるわけではありません。このため、予防接種だけではなく、検診でがんになる手前の状態(異形成)を見つけて治療すると、予防効果がさらに高まります(検診の内容についてはこちらを参考にしてください。)。20歳以上の女性には2年ごとに検診を受けることが推奨されているので、検査を受けていない人は受診するようにしてください。検診を受けられる場所や時間については住んでいる自治体に問い合わせてみてください。
妊娠がわかった後に子宮頸がんが見つかった人はどうすればよいのか
妊娠がわかった後に子宮頸がんが見つかることがあります。妊娠中でもがんは進行するので、「妊娠の継続」と「がんの治療」のバランスをとる必要があります。具体的には、がんが進行していて子宮の摘出が必要な人では、胎児(お腹の中の赤ちゃん)が十分に育った時点で帝王切開と子宮の摘出が同時に行われます。一方、がんが早期の人では治療をいったん先送りにして出産後に手術が行われます。また、がんがかなり進行していて、すみやかに治療を始めなければ大事にいたると考えられる人では、妊娠の継続を断念することも検討されます。
妊娠中に子宮頸がんが見つかった場合は、患者さんにとっても胎児にとっても最適な治療が選ばれなければなりません。治療のメリットとデメリットをお医者さん相談して、納得がいく選択をしてください。
2. 子宮頸がんの検診や精密検査を受ける人に知って欲しいこと
子宮頸がんには早期発見を目的とした「検診(けんしん)」があります。「けんしん」と聞くと健康診断を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、検診は健康診断とは異なり、その目的は特定の病気を早期発見することです。ここでは検診や精密検査(検診で異常があった人が受ける検査)について知って欲しいことをまとめます。なお、検診で行われる「
子宮頸がんの検診を受ける頻度について
子宮頸がんはゆっくりと進行することが多いです。そのため、子宮頸がんの検診を受ける頻度は、2年に1回で早期発見には十分だと考えられています。ただし、検診で異常な
子宮頸がんの検診や精密検査は生理中でも受けられるのか
生理中は血液が混じりやすく検査が不十分に終わることが懸念されるので、生理中の検査は避けたほうがよいです。また、検診を実施する機関によっては生理中は受けられないと定めている場合があるので、事前に確認しておくことをお勧めします。
子宮頸がんの検診や精密検査で痛みや出血はあるのか
子宮頸がんの検診で行われる細胞診は、子宮頸部を綿棒でこすって細胞を取り出す検査です。痛みは小さく出血もほとんどないかあってもわずかです。一方、細胞診で異常が見つかった人が受ける「組織診」は、がんが疑われる部分を切って取り出す検査です。細胞診と比べると痛みが強く出血も少量ありますが、麻酔が必要となるほどではありません。検査後に痛みが残ることがありますが、痛み止めで十分抑えられます。また、検査後の出血は数日続くことがありますが、量が減ったり色が薄くなったりしているのであれば様子見で問題ありません。
子宮頸がんの検診や精密検査の結果について:軽度異形成と高度異形成の違いなど
子宮頸がんの検診(主に細胞診)や精密検査(主に組織診)では、子宮頸部にがん細胞があるかどうかがわかります。ほとんど同じことを調べているようですが、細胞診と組織診の結果がもつ意味には違いがあるので、それぞれについて説明します。
■細胞診の結果について(細胞診の詳しい内容は「こちらのページ」を参考)
細胞診で取り出した子宮頸部の細胞はベセスダシステムという方法でその状態が分類され、精密検査や定期的な検査が必要かどうかを判断する材料に使われます。
【細胞診の結果とその後に予定される検査について】
| 結果 | アルファベットによる結果の略語表記 | その後の検査 |
| 陰性 | NILM | 定期検査の継続 |
| 意義不明な異型扁平上皮細胞 | ASC-US | 要精密検査①(下で説明) |
| 高度扁平上皮内 |
ASC-H | 要精密検査②(下で説明) |
| 軽度扁平上皮内細胞 | LSIL | |
| 高度扁平上皮内細胞 | HSIL | |
| 扁平上皮 |
SCC |
上の表の「結果」もしくは「アルファベットによる結果の略語表記」のいずれかで検診の結果が返ってきます。陰性(NILM)以外の人は精密検査が必要なので、必ず受診してください。下記では要精密検査の①と②について説明します。
◎要精密検査①
ASC-USと判定された人が受けることになる要精密検査①について説明します。ASC-USは形が正常ではない細胞が検査によって見つかったことを示しています。がんとまでは言えませんが、がんになる手前の状態の可能性があります。 ASC-USの人はまず、子宮頸がんの発病に強く関係しているヒトパピローマウイルスに感染しているかどうかを調べる検査を受けることになります。ヒトパピローマウイルスが検出されなければ、がんの前段階である可能性は低いと考えられ、1年後に再び細胞診を受けます。一方、ヒトパピローマウイルスが検出された人は子宮頸がんの手前の状態である可能性が高いと考えられるので、この後説明する精密検査②が行われます。
◎要精密検査②
要精密検査②の対象になるのはがんの存在が疑われる人です。がんの有無を確認するために、コルポスコープ(拡大鏡)による観察と組織診を受けます。組織診は子宮頸部の一部を切って取り出して調べる検査なので、少しの細胞しか取り出せない細胞診に比べて詳しい情報を得ることができます。組織診の結果によって、治療の必要性や方法が判断されます。
■組織診の結果について(組織診の詳しい内容は「こちらのページ」を参考)
組織診で取り出されたものは顕微鏡で調べられます。がんの手前の段階をCIN(シーアイエヌ)といい、程度によってさらに3つに分けられます。CINは以前は「異形性」や「上皮内がん」という名前で4つの段階で分けられていました。CINと以前の呼び名を対応させたものが下の表です。検査結果ではCINとともに異形成や上皮内がんといった名前が併記されることがあるので参考にしてください。
【CINと以前の呼び名の対応表】
| CIN | 以前の呼び名 |
| CIN1 | 軽度異形成 |
| CIN2 | 中等度異形成 |
| CIN3 | 高度異形成 上皮内がん |
CINがない人は2年ごとの細胞診で十分だと考えられています。一方、CINが見つかった人には、数ヶ月ごとの細胞診もしくは手術(円錐切除術または子宮全摘除術)が行われます。
【CINの人のその後の検査や治療について】
- CIN1:6ヶ月ごとに細胞診と必要に応じてコルポスコープ検査
- CIN2:3ヶ月から6ヶ月ごと細胞診とコルポスコープ検査
- CIN3:手術:円錐切除術
CIN3をがんの一歩手前の状態というならば、CIN2はがんの二歩手前、CIN1は三歩手前の状態です。CIN3に比べてCIN1・CIN2はすぐにはがんに変化せず、正常な状態に戻ることも少なくないので、身体への負担を小さくするためすぐに手術をすることはありません。とはいえ、CIN1やCIN2といわれた人は、がんへの進行があるかどうか確認する必要があるので、定期的に検査を受けてください。
3. 子宮頸がんの治療を受けることになった人が知っておくとよいこと
子宮頸がんの治療を受けることになったら、さまざまなことが頭をよぎると思います。がんの進行速度や妊娠への影響など、治療を受ける人が知っておくと良いことをまとめます。
子宮頸がんの進行速度について
子宮頸がんが進行する速さは一人ひとりで異なると考えられています。はっきりとはわかっていませんが、少なくとも数週間で大きく状況が変わることは少ないと考えられています。
受診した施設によっては、直ちに治療を始められないことは少なくありません。がんの治療はなるべく早く始めたほうがいいのは間違いありませんが、ある程度待てる場合があることを知っておいてください。それでも、治療まで時間が空くことに不安を覚える人は、担当してもらっているお医者さんに相談してみてください。
子宮頸がん手術後の妊娠について
子宮頸がんの手術には、子宮の頸部だけを取り除く円錐切除術と、子宮を全摘出する方法があります。円錐切除術で治療できた人は手術後も妊娠が可能ですが、子宮を摘出した人は妊娠することができません(円錐切除術については「こちらのページ」を参考にしてください)。
円錐切除術を受けた人は妊娠は可能ですが、注意点があります。治療の影響で子宮頸部が弱くなって
子宮頸がんの名医について
子宮頸がんに限らず、どんな病気でも「名医」の明確な定義は存在しません。一人ひとりに個性があるように、お医者さんのタイプもさまざまです。手術に長けている人もいれば
4. 子宮頸がんの再発や転移、余命について知ってほしいこと
子宮頸がんは再発や
子宮頸がん手術後の再発について:円錐切除術後・子宮全摘後の再発
再発は、治療によって一度身体から消えたがんが再び現れることです。子宮頸がんは手術後に再発することがあり、追加で治療が行われます。「円錐切除術後」と「子宮全摘除術後」の再発では治療法が異なるので、分けて説明します。
■円錐切除術後の再発
円錐切除術はがんが早期の人に行われる治療法で、がんが含まれた子宮頸部が円錐状にくり抜かれます(詳しい説明は「こちらのページ」を参考)。円錐切除術後に再発した人の主な治療法は、「再び円錐切除術を行う」もしくは「子宮の摘出を行う」の2つです。がんの広がりが大きい人は子宮摘出が優先されますが、がんの広がりが大きくなく妊娠希望がある人には円錐切除術が検討されます。
■子宮全摘除術後の再発
子宮摘出後の再発には遠隔再発(転移が子宮から離れた場所に再発すること)、局所再発(子宮の近くに再発すること)の2つのパターンがあります。
遠隔再発した人はがんが身体中に広がっている可能性が高いと考えられるので、全身に効果が現れる抗がん剤治療が主体になります。一方、局所再発の場合は
子宮頸がんが転移した人の生存率について
がんが血管やリンパ管に入り込み、発生した場所から離れた所に移動して大きくなることを「転移」といいます。転移がある状態は
5年生存率は過去の治療の結果をもとにして求められたものなので、現在の治療の結果を予測するものありません。医療は日進月歩で進歩しており、現在の治療が過去の治療を上回ることはよくあることです。
また、この生存率はステージIVの人たちの平均的なものなので、身体の状態が異なる個々人にに当てはめることはできません。例えば、ステージIVと言われた人の中には、持病などのために治療が十分にできなかった人もいれば、反対に身体の状態がよく長く治療を続けられた人もいます。一人ひとりの身体の状態が寿命に大きく影響することを踏まえると、必ずしも全ての人に生存率が当てはまるものとは限りません。
生存率(余命)はどうしても気になる数字ですが、あくまでも目安でしかありません。生存率にとらわれるよりも、目の前の治療や日々の生活を充実させることに目を向けるようにしてください。
参考文献
・日本婦人科
・国立がん研究センター内科レジデント/編, 「がん診療レジデントマニュアル(第7版)」, 医学書院, 2016年
・日本産婦人科学会,日本産婦人科医会/編, 「産婦人科
・厚生労働省:HPVワクチンQ&A(2021.7.16閲覧)
・「がんの統計’24」