しきゅうないまくしょう(ちょこれーとのうほうをふくむ)
子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)
子宮内膜が子宮以外の場所にできる病気。月経のたびに強くなる腹痛、性交時・排便時の痛みなどを起こす。
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最終更新: 2024.11.08
子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)の基礎知識
POINT 子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)とは
子宮内膜が子宮以外の場所にできる病気です。月経ごとの強い腹痛や性交痛、排便時痛などを起こします。中でも卵巣にできる子宮内膜症をチョコレート嚢胞と呼びます。子宮内膜症は周りの組織に炎症を起こし、その後癒着(お互いくっつくこと)が起こります。膀胱や腸の一部分にもできることがあり、その際には膀胱や腸に傷をつけます。内診や超音波検査、MRI検査によって診断が行われ、癒着の程度を調べるために、腹腔鏡検査が行われることもあります。 ホルモン薬や鎮痛剤、漢方薬を使って症状を和らげることができ、根本的な治療は手術によって行われます。子宮内膜症が心配な人は産婦人科を受診してください。
子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)について
- 本来ならば子宮の内側にだけあるはずの子宮内膜が、他の場所に移り、月経周期に合わせて増えたり剥がれたりしている状態
- 月経が来るたびに少しずつ病変が大きくなり、しだいに強くなる痛みの原因になる
- 子宮内膜症は周りの組織に炎症を起こす
- 巻き込まれた場所は互いにくっつく(癒着する)
- 子宮の周りの場所に起こりやすい
- 頻度
- 20-30代の女性に多い
- 原因、リスク因子
- 原因は不明
- 子宮内膜の生成はエストロゲン(卵胞ホルモン)の働きによるので、それまでのエストロゲンの分泌総量が多い人(以下に当てはまるような人)に生じやすい
- 過去に妊娠、出産がない人
- 初潮が早く、閉経が遅い人
- 月経周期が短い人
- チョコレート嚢胞は破裂、感染により急激な腹痛を起こす場合もある
- 卵巣がんに変わる可能性もある
- のう胞が大きくなった場合や年齢が40歳を超えた場合には注意が必要
- 卵巣がんに変わる可能性もある
子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)の症状
症状の詳細
子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)の検査・診断
- 内診
- 画像検査:卵巣にチョコレート嚢腫がないかなどを調べる
- 経膣超音波検査
- 腹部MRI検査
- 腹腔鏡でお腹の内部を観察し、癒着があるかなどを調べる
- 癒着の程度を腹部MRIなどの画像で診断することは困難
子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)の治療法
- 対症療法(痛み止め、漢方薬など)
- ホルモンバランスを改善する薬
- 中用量ピル(商品名:プラノバールなど)
- 黄体ホルモン療法
- ジエノゲスト(商品名:ディナゲスト)
- 黄体ホルモンのように働いて女性ホルモンの分泌を抑え、子宮内膜症細胞の増殖を抑える
- 偽閉経療法(GnRHアゴニスト):女性ホルモンを抑えて閉経したような状況を作る
- ブセレリン(商品名:スプレキュア、イトレリンなど)、ナファレリン(商品名:ナサニールなど)
- LH-RHアゴニスト:女性ホルモンの分泌を抑える
- リュープロレリン(商品名:リュープリン)など
- ダナゾール(商品名:ボンゾール):女性ホルモンの分泌を抑える
- 手術:保存手術と根治手術2つのタイプがある
- 保存手術は、症状を抑えるための手術(腹腔鏡を用いた手術が一般的)
- 根治手術は、完全に治しきるための手術
- 妊娠の希望の有無で大きく治療方法が変わる
- 内膜症性嚢胞はがん化することもあるので、しっかりと長期的に経過を見ることが大切
子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)に関連する治療薬
黄体ホルモン製剤
- 黄体ホルモンを補充し、無月経、月経周期異常、月経困難症、機能性子宮出血、不妊症などを治療する薬
- 黄体ホルモン(プロゲステロン)には子宮内膜を増やし受精卵が着床するように子宮内環境を整える作用がある
- 黄体ホルモンの不足やバランスの崩れにより無月経や月経周期異常がおこる
- 黄体ホルモンの不足やバランスの崩れは機能性子宮出血や不妊症なども引き起こす
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